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売れるモノにはワケがある。PR目線で読み解くヒットの構造 #04

大切なのは「自分で見つけた感」 街のクリーニング店から学んだSNS時代のPR【ラウツマ 松浦隆】

商品もインフルエンサーも、本質が問われる時代

 フォロワーを数多く抱えるインフルエンサーに商品やサービスのPRをしてもらう、いわゆるインフルエンサーマーケティングも、数年前と今では大きく変わってきていますね。

 とにかくフォロワー数が多いインフルエンサーに発信してもらえばOK、という時代もありましたが、昨今ではフォロワーもお金で買える時代になっていますから、実質的なエンゲージメントやコンバージョンがメインの指標となっています。

 そういえば先日、Twitter社が偽アカウントの排除をしたところ、フォロワーが一気に40万人減ったインフルエンサーがいたと、ネットで話題になっていましたね(笑)。フォロワーの数が1000程度であっても、フォロワーとのエンゲージ率が高く、アクティブなインフルエンサーが重宝されてきていますね。

 KPIも「認知向上」に留まらず、その先の「売上向上」に置くところが多くなっているのではないでしょうか。昨年、都議会議員の音喜多駿さんが暴露したブロガーを使った豊洲市場のPR(参考)の惨憺たる結果を見ても、単に「フォロワーがいっぱいいますよ」だけでは通用しない時代になってきています。

 話はちょっと逸れますが……先日何気なくテレビを観ていたら、『私、コレで成功しました~密着!富女子2018~』(日本テレビ)という面白いタイトルの特番に出会いました。女性起業家3名を紹介する番組の中で、大阪の「JTRRD cafe」というカフェが登場しました。そのオーナーがつくるスムージーにハッとさせられたのです。
 
@jtrrd
 昨今多くの飲食店、特にカフェでは、いわゆる“インスタ映え”を狙ったメニューを打ち出し、SNSでの話題拡散を図っていますが、この店のスムージーはその究極と言っていいビジュアルでした。

 誰かが発信したSNSの写真を見て、また別の人が写真を撮りに朝から並んでまで訪れる。世間には、私のようなオジサンから見たら「食べ物はまず食べるためのものでしょ?いくら何でも、これ美味しいの?」と疑ってしまうような“行き過ぎたインスタ映え”メニューも存在しますが、そのスムージーは斬新でアーティスティックなビジュアルだけでなく、テレビ画面を通じても美味しさが伝わってくるクオリティの高い逸品でした。

 地上波で取り上げられるところまでいけば、SNSマーケティングとしては満点評価だと思います。ほとんどお金をかけず、究極の商品力で見事な話題拡散を実現したその女性オーナーには脱帽の思いでした。やはりどんなにネットが発達し、SNS利用者が増え、幅広くPRで活用されようとも、その真髄は商品力に尽きるとあらためて感じました。

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