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売れるモノにはワケがある。PR目線で読み解くヒットの構造 #05

「IQOS」「経口補水液」ヒット商品には、未来を見据えたPR活動がある【ラウツマ 松浦隆】

前回の記事:
大切なのは「自分で見つけた感」 街のクリーニング店から学んだSNS時代のPR【ラウツマ 松浦隆】

IQOSは、それが醸す“未来感”が人々の興味を増幅させた

 愛煙家である私にとって、6月27日に可決された「受動喫煙防止条例案」は正直イタイ。2020年には、従業員がいる飲食店(編集部注:規制対象となる飲食店は約84%と言われる)を原則禁煙とするという、東京都の条例です。

 東京オリンピック・パラリンピックをいよいよ2年後に控え、海外基準に合わせてという理由もあるそうですが、私の経験値からすると海外諸国の多くの公道は“灰皿”状態。確かに飲食店内やホテル内はほぼ全面禁煙ですが、一歩建物の外に出れば吸い放題・ポイ捨てし放題の都市が多い。NYでもLAでもロンドンでも、当たり前のように道に吸い殻を捨てていたし、香港ではオレンジ色の大きな灰皿が交差点ごとに設置されていて、街のいたるところでタバコを吸っていました。

 こうした海外の状況に、禁煙派の方々は納得しているのか……?と思う私に、NYに住んでいた友人が、とあるエピソードを教えてくれました。

 「肺がんになった患者が、とあるレストランを訴えたそう。『私が肺がんになったのは、以前に行ったあなたのお店が禁煙にしておらず、隣のテーブルでタバコを吸っていた人の副流煙を吸ったせいだ』ということで、多額の損害賠償を求めたのです。飲食店などの私有地では、そのような責任が負えないということで全面禁煙に。喫煙者は公道で吸うことになったわけです」

 真偽は定かではありませんが、さすが「訴訟大国・アメリカ」といったエピソードと言えます。葉巻などを楽しむシガーバーでは、入店の際に「私は喫煙による害で病気になったとしても、この店を訴えることはしません」という念書にサインしないと入店できないそうです。
 
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 ちなみに私は、3年ほど前から電子タバコのIQOSを愛用しています。購入した当時は、居酒屋や新幹線の喫煙室、海外(ドアマンやホテルスタッフ)で、「それは何ですか?」と尋ねられ、都度説明していたことを思い出します。海外に比べ、日本では、これといった理由もなく他人からいきなり話しかけられることは滅多にないものですが、IQOSに関してはかなりの頻度で尋ねられたものです。

 なぜか?それは、自分の知らないものに対する興味はもちろんですが、おそらくIQOSのデザインやコンセプトに秘められた“未来感”が人々の興味を増幅し、思わず他人に声をかけてしまったのではないかと考えています。IQOSの普及は、その商品力もさることながら、PRの力が果たした役割も大きかったのではないでしょうか。
 

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