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連載「世耕さん、広報の魅力って何ですか?」 #03

「記者はお客さま」メディアと良好な関係をつくるために必要なこと【近畿大学 世耕石弘氏の視点】

前回の記事:
【近畿大学 世耕石弘氏の視点②】日大アメフト問題、スポーツだからこそ炎上した

 5年連続志願者数日本一を誇る近畿大学の仕掛け人・世耕石弘総務部長が、企業の広報やマーケティング担当者からの質問に答えます(こちらで募集中)。今回は、「メディアと良い関係をつくるために、意識していることは?(30代・広報担当者)」という質問に答えてもらいました。

 

ホテルマン時代に学んだサービス精神

 答えは、簡単。記者に対して「大切なお客さまとして接すること」である。

 私は大学卒業後、鉄道会社に入社した。別に鉄道マンになりたかったわけではなく、ホテルマンになりたかったからである。私の就職した会社は、約半年間の鉄道の現場実習を終えると系列ホテルに出向し、2年間かけてサービスのほぼ全てを経験できるコースを選択できた。そこで私は、4カ月単位でベルボーイから宴会係、バーテンダー、フロントマンなどの業務を巡回した。
 
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 その後、海外のホテル勤務、宴会セールスなど、ホテルに関する幅広い業務を経験したが、そこで学んだサービス精神が、広報業務で大いに役に立っている。

 ホテルでのお客さま対応は日々、道場での修行のようであった。外国人、VIP、芸能人、酔っ払い、お忍びのカップル、クレーマー的な人、その筋っぽい人の対応など、ホテルならではのシチュエーションを山ほど経験した。

 宴会セールス時代、私が受注した宴会で、大声で怒鳴っているお客さまがいた。見るからに怖そうな人で、サービス担当もどう対応していいのか分からない様子。私は、勇気を振り絞って「この宴会の責任者ですけれども、何かございましたか?」と切り出した。内容は些細なことで、怒りはすぐにおさまった。この方からは、のちに何度も宴会を頂戴し、20年が経った現在も交流を続けている。

 ホテル時代の苦労自慢をしたい訳ではない。

 広報担当者として、メディア関係者との対応も、ホテルマンとしてのお客さまへの対応と同じであるということを伝えたいのだ。

 メディア関係者もホテルのお客さま同様、様々なタイプがいる。低姿勢な人から、初対面から高圧的に接してくる人、明らかに我々に対して批判的な視点で取材をしてくる人など。そこにマニュアル的な対応は、通用しない。

そこで、私が心がけている姿勢が「記者はお客さま」なのだ。
 

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