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連載「世耕さん、広報の魅力って何ですか?」 #03

「記者はお客さま」メディアと良好な関係をつくるために必要なこと【近畿大学 世耕石弘氏の視点】

権限のない広報担当者では、良好な関係は難しい

 何もひたすら低姿勢に徹することではなく、相手のニーズをいち早く察知し、それに応じるということである。記者は社会的正義を担う職種ではあるが、あくまで仕事の一環として我々に接触してくる。

 多くの場合、彼らの広報担当者へのニーズは「早期に良質な記事を仕上げるためのお手伝い」である。そのため取材の依頼があれば、広報担当者は、なるべく早く対応し資料をまとめ、それを裏付ける関連資料の準備、そして取材対象者との時間や質問内容の調整などを担う。しかも、昼夜など時間を問わず。

 単純に聞こえるが、これができない広報担当が意外に多い。
 
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 他部門とのコミュニケーションが良好ではないため、取材を受けるか否か速やかに返答できない。または、資料を提供したいが担当部署や上役のコンセンサスが取れないなどの対応の結果、記者を怒らせている。

 原因は明確で、広報担当部署に必要な権限が与えられていないためだ。権限のない広報担当者が、メディアと良好な関係をつくることは不可能である。

 メディア対応のノウハウを語り出すと、居酒屋で朝まで語れるが、そのようなノウハウは、様々な案件が突発的に飛び込んでくる広報現場では使えない。

 メディアと良い関係をつくるためには、メディアとの対応で必要な権限を組織内でしっかり握っておくこと。その上で記者に対して「大切なお客さまとして接する」ことである。ホテルはサービスの延長上に対価として金銭があるが、メディア対応は金銭でなく、記者の後ろに控える膨大な数の読者に対して費用をかけずに情報発信できるメリットである。

 これは、不祥事でも同じである。ブランドイメージダウンのダメージを少しでも軽減できるための情報発信である。ある意味、金銭以上の価値がある。

 必要な権限を組織内でしっかり握っておくための手法については、これはこれで朝まで居酒屋で語れるだけのノウハウがあるのだが、今後の機会にとっておきたい。
 
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