事業主インサイト ~現場のリアルな疑問に答えます~ #2

CRMやMAは、小規模組織でも導入価値があるのか?【菅野勇太が答えます】

前回の記事:
「営業とマーケター」を経験することで、自分の強みは変わるのか?
 

CRMやMAの導入を取り巻く背景

【Question】
少人数組織でもCRMやMAの導入、活用は必要でしょうか?

 こんにちは、菅野勇太です。私はLIFULLのマーケティングマネージャーとして、日々あらゆるCRMやオートメーション関連のテクノロジーに触れ、また兼業の百様 ファウンダーとして、様々な企業のCRM支援をしています。事業会社、支援会社、双方の経験を踏まえ、今回の問いに答えていきたいと思います。

 まず、質問の背景を確認していきましょう。

 コロナ禍とCookie利用制限は、新規顧客の獲得(アクイジション)効率を著しく低下させました。それに伴って、既存顧客によるリピート利用をより重視しようという気運が高まり、CRMやMAツールの導入企業が増えています。しかし残念ながら、組織として上手く活用できていないという声も、同時に増えているように思います。

 CRMやMAという手段が浸透してきたからこそ、それらの導入を提案する側、または導入を検討する側にとって、その費用対効果の見極めは、より一層シビアで切実な悩みになっているのではないでしょうか。「無用の長物にしてはいけない」、「自分たちには(彼らには)使いこなせない過剰性能なのではないか?」そういった不安は、私自身も、以前よりも大きくなってきている実感があります。

 「新しいものだから、先行者利益があるかもしれない。だから、まずはやってみよう!」という勢いのあるフェーズは、大きな組織での先行事例が一巡したいま、過去の話になってしまいました。そういった背景あってのご質問と理解しました。

 少人数組織という前提において、あえて私の答えを出すならば、むしろ大人数組織よりも効果を発揮するチャンスは多いのではないかと考えます。
 

少人数組織だからこそ活かすべき視点とは

 では、CRMやMAを導入、活用して効果を発揮するための条件とはなんでしょうか?
 

 業種による相性の良し悪しもありますが、一般的には、顧客(エンドユーザー)の規模が必要です。顧客の数が多い方が、オートメーションによるレバレッジ(テコの原理)が効きやすいからです。人力でのOne to Oneのコミュニケーションが不可能な規模だからこそ、機械化する価値があると考えられています。そして顧客数が多いということは、ある程度大きな組織として運用されているイメージが多いです。だから、その逆の少人数の組織では、効果が限定的なのではないかと、演繹法的には考えられがちです。

 しかし、顧客の数が多いだけでは、成功は約束されません。大きな組織の場合、技術的なハードル、業務領域の分業制などがネックとなり、ツールのスペックに対して実行可能な施策が低レベルなものになってしまえば、当然、コストに対してリターンは見合わなくなります。それが、「上手く活用できていない」という問題の根っこにあるのではないでしょうか。

 メールやチャット、広告や店舗など、あらゆる顧客接点を統合し、かつ技術的な負債を最小に抑えた「小回りの良さ」でいうと、少人数組織に分があります。また、小回りの良さは、CRM、MAの効果を「LTVを向上させる」といった単眼的な評価にとどめず、ブランドエクイティの増加や、アドテクノロジーとの連携による新規顧客獲得への還流をスピーディに実行できるなど、複眼的な評価を上乗せすることにも繋がります。

 顧客の数という点では、あまりに少なすぎる場合は、そもそも手動でOKとなりますが、問題は顧客の数に対するマーケターの比率です。CRMの業務以外にも、SNSや広告まで一人のマーケターでこなしているような場合、顧客数は少なくても、手動でのOne to One配信などは到底、不可能です。ひとり何役もこなす必要のある少数精鋭の体制だからこそ、自動化が必要なのではないかと思います。

 とはいえ、現実問題、ツールを使いこなせるほどの人材を育成できていない、初期導入が大変すぎる、といった悩みもあるかと思います。そこはまさに、パートナー企業が伴走する価値が問われる部分です。

 少人数組織だからといって、CRMやMAの効果が限定されるということではないはずです。対象の組織の構造面、技術面をよくよく理解して、「小回りを利かせて、統合的・複眼的に施策を実行できそうか」をチェックしてみてください。

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