事業主インサイト ~現場のリアルな疑問に答えます~ #1

「営業とマーケター」を経験することで、自分の強みは変わるのか?

 
【Question】
マーケティングやデータアナリストなど、他の部署を経験した営業の強みとは?逆に営業経験があるマーケターの強みはなんでしょうか?

 こんにちは、菅野です。自身のキャリアビジョンを構築していく上で、とても重要な問いです。考え方次第で、大きく成長したり、逆に悩んでしまって停滞したりすることもあるかと思います。

 私はLIFULLのマネージャーとして、業績目標の設定面談に加え、キャリア面談を年4回実施しており、これまで延べ90~100人のメンバーのキャリアを一緒に考えてきました。また、私自身、事業主側でBtoCマーケティングを担当しつつ、兼業の百様 ファウンダーとしてBtoBのマーケティング支援(営業側)を実施しています。その経験を含めて、お答えします。
 

共通認識や思考回路を持つ「表層の強み」

  まず、キャリアビジョンを考える上で「表層の強み」と「深層の強み」、この2つの視点があります。さらに「弱み」を克服する視点、この3つ目を付け加えたいと思います。この3つが、キャリアの後半になるほど大事になってきます。

 複数の部門を経験することによる表層の強みについて、まず分かりやすいのは「多言語」です。バイリンガルになれるということです。もちろんこれは比喩であり、職種には特有のニュアンスも含めた言語があると思っています。例えば私の場合、事業主側のマーケターとして日々多くの営業の方と対面しますが、マーケティングのバックグラウンドのある方とは会話が弾む実感があります。それは、互いに同じような経験をしたことで裏打ちされた思考回路が共有できている感覚を持って会話できているため、ひとつの言葉で多くの共通認識を持つことができるのです。

 次に「ワンストップ」。チームプレイも単独プレイも臨機応変に対応できることが強みです。分業制によるパスミスが減るイメージでしょうか。マーケティングやデータアナリストを経験した営業は、何でも頼れる専属コンシェルジュとして、希少性の高い存在になることが期待されます。

 逆に、営業経験のあるマーケターは、商売の運転感覚がある点、コミュニケーション能力が高い点が強みです。私のマーケティング部署でも、営業から異動してきたメンバーはとても頼もしく、重宝しています。彼らはマーケティングの専門性やテクノロジーに疎いこともありますが、逆にそういった手段に溺れず、しっかりと目的を見据えて最短で動けることが、かえって成果に結びつくこともよくあります。以前、「マーケターはテックオタクではダメ、テックゴリラになれ」という記事を書きましたが、最もシンプルな方法を選択し、突破力を発揮して成果を出せることが、最大の強みであり魅力です。

 余談ですが、ドラクエで言う「魔法戦士(魔法使いと戦士という2つの職能を持っている)」をつくろうということで、社内でマーケティングテクノロジーエンジニアという職種をつくることにも携わりました。

 

インサイトを見抜く「深層の強み」

 続いて、表層の強みに対して「深層の強みとは何か?」です。これは深層というだけあって、どんな職種にも共通するスキルのことです。例に挙がっているマーケティング、データアナリシス、営業、これらに共通しているスキルのひとつは対象への洞察力、「インサイトを見抜く力」です。共通スキルは他にもありますが、これが最も大事です。

 共通スキルは様々な専門知識を実践で活用するための「基礎」、OSのようなスキルと言えます。これがあれば、多少コミュニケーションやプレゼンに難のある営業でも、デジタルの知識が乏しいマーケターでも、ある程度通用するビジネスパーソンであるはずです。

 インサイトを見抜く力など、深層部分の強みを持つ者は、単一の職種であっても十分に優秀な人材ですが、複数の職種を経験すればさらに輝きます。複数の視点から物事を考えることで、その本質が見えるようになるからです。「勝手は違うが本質的には同じ」というものの見方ができれば、環境や役割が変わっても、再現性を持ってパフォーマンスを発揮できる人材として高い評価を得られるでしょう。

 最後に、「弱み」についてです。これは、「悩み」と言い換えてもいいかもしれません。複数の職種を経験した人は、時に自身のアイデンティティに悩まれることも多いように思います。職種は大体同じでも、色々な部署に異動を繰り返してきたメンバーも同じです。前後の文脈やストーリーを欠く経歴はコンプレックスとなり、「自分は何者になりたいのだろう・・」と自信を失ってしまうことも。

 それは、「後付けの自己肯定」ができていないことが原因です。それができれば、この悩みを自分次第で強みに変えることができます。私も急に異動を告げられた時に、アイデンティティが崩壊し、傷つき、まさに五里霧中な心境に陥るような時期がありました。デジタルマーケから編集になった時、デジタルマーケに戻ったと思ったら、事業戦略になった時などです。

 でもある時、「この異動はとても良かった」と理由を後付けし、前を向いて歩こうと決めました。編集はコンテンツマーケティングという文脈でデジタルマーケティングのバリエーションを広げました。事業戦略はなんのためにデジタルを使うのかという目的思考が身につきました。自分の過去が意図したものでなくても、それらをただ点として捉えるのではなく、線で紡いであげる。そして、その過去を生かす未来を、線の先に描けばいいんです。後付けの理由でも、自分の納得感と自信になればいい。そういった自己解釈で、自分のストーリーを誇らしく語れることが、最も大事なことだと思います。

 最後は少し感情が入ってしまいましたが、是非、表層のスキル、深層のスキルの双方に目を向けながら、弱みや悩みがあれば、そこから強みに昇華させるための「後付けの自己肯定スキル」を磨いてみてください。

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