広報・PR #02

東京オリンピックの惨事を経て、イベントのスポンサーシップは今後どう変わるのか?

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 東京五輪が閉幕し、間もなくパラリンピックが開幕する。コロナ禍での五輪には開催前から賛否の声が挙がっていた。また、無観客での開催が直前に決まったこと、開・閉会式の直前での演出チームの辞任・解任劇など、予期せぬ展開への対応に追われたスポンサー企業もあるだろう。今回の五輪のスポンサーシップが、今後の企業PRにどういった影響を及ぼすか考えてみたい。
 

「ポジティブ」だけではないPR効果

 数年前のことになる。私はある企業から、五輪関連プロジェクトが自社のブランドにもたらすPR効果を算出したいという依頼を受けた。大会期間中だけでも、世界50億人が視聴する大規模スポーツイベントだ。そのスポンサーシップによって得られるPR効果をどのくらいに見積もればよいかという内容で、これまで行ってきた仕事のなかでも非常に難しい試算だった。

 コロナ禍に入る前だったが、私はもちろんスポンサーシップがポジティブなPR効果を企業にもたらすことを前提にPR効果の算出を行った。



 開幕式の一年前にカウントダウンは始まり、開幕式、開催期間、閉会式、さらに開催後からはパラリンピックが始まる。一連のスケジュールに沿って、どのくらいの報道量が見込まれ、どういうメッセージが生活者に向けて届くか、SNSではどのくらい情報拡散が派生するのか。そうした予測の大前提として「開催に向けて時間が経つに連れて、PR効果は積み上ること」に全く疑いはなかった。

 ところが、こうした前提が崩れた。2020年3月末に開催延期が発表されたが、その発表が遅れたこともあってか、日に日に五輪運営に関する批判の声が増え始めた。

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