編集部が注目!キャンペーンの舞台裏 #01
メディア露出は想定以上、吉野家呼びかけ外食戦隊「ニクレンジャー」実現の舞台裏
Twitterを起点にボツ企画が話題に
7月6日、吉野家の公式Twitter上の、ある“つぶやき”から始まった。肉に関する外食企業で「ニクレンジャー」という戦隊を結成しようとしたが、ボツ企画になったため企画案だけを投稿してみたという内容だ。
それに対して、ガスト公式Twitterが反応。「レッド貰ってもいいですか?」と、顔がガスト店舗のキャラクターイラストを投稿する。
その後も、ケンタッキーフライドチキン(ホワイト)、モスバーガー(グリーン)、吉野家と競合企業であるはずの松屋(イエロー)も参戦。そして、見事に外食戦隊「ニクレンジャー」が結成されてしまう。
その一連のやりとりがTwitter上で話題になり、その結果、テレビの情報番組やWebメディアなどに多数、取り上げられた。
今回の企画の狙いは、どこにあったのだろうか。最初のきっかけをつくった吉野家 CMOの田中安人氏は、狙いは外食産業というカテゴリーの盛り上げにあったと語る。
「これからの時代は、競争ではなく共創の時代。手と手を取り合って外食産業を盛り上げる時代だという信念から企画しました。実現不可能だと思っていたボツ企画なので、話題化は狙っていませんでした(笑)」
また、企画は、吉野家のクリエイティブ会議の中で生まれたという。同社では、マーケティング部門と外部のクリエイターでチームを結成し、アイデアを練り上げて、月1回の社長プレゼンを経て、企画を実行に移すスタイルを採用している。
「外食企業を5社集めるというTwitterの世界観でしかできないカオスな企画なため、現実的には不可能だと思っていたのでボツにしたのですが、すかいらーくさんが乗ってくれたことで実現しました。その後は、各社の人脈を頼りに、交渉を重ねていったのです」(田中氏)
現在、感じている成果はついては、「拡散して盛り上げてくれたユーザーの存在が成果です。売上への相関はまだ分析しきれていませんが、メディア露出は想像以上でした」という。
外食関連の広報担当者であれば、誰しもが露出させたいと考える「王様のブランチ」や「めざましどようび」などの情報番組に紹介されたほか、Webメディアでも多数紹介された。
主なテレビ番組への露出
抜群のアイデアを軸に、Twitterの特性を生かして徐々にファンを巻き込んで、大きな話題をつくりあげた秀逸な企画と言えるだろう。