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国連難民高等弁務官事務所の広報日記 #01

「帰宅難民」「引っ越し難民」という言葉が、本当の難民への誤解を生む【国連難民高等弁務官事務所 守屋由紀】

「難民」とは、何ですか?理解を広げる広報活動

 UNHCRの広報という仕事についてお話しましょう。

 主要各国の事務所には、それぞれ専門の広報スタッフが配置されていると思われるかもしれませんが、他の業務との兼任が多く、私のような専任は少数派です。広報スタッフの主な役割は、「難民」と「UNHCR」について、より多くの人に知ってもらうことにあります。

 このコラムを読んでくださっている皆さんに質問です。

 「難民」とは、何ですか?

 分かりやすく言うと、以下の条件を全て満たす人のことを指します。
 
  1. 自国において「迫害をうけるおそれ」がある
  2. 「迫害のおそれ」が、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見に基づくもの
  3. すでに自国外に逃れている
  4. 自国政府の保護を受けることができない(あるいは迫害のおそれがあるため保護を望まない)

 この4つの条件に加えて、さらに「平和に対する犯罪、戦争犯罪、人道に対する犯罪、避難国外での重大な犯罪、あるいは国連の目的や原則に反する行為を行ったことがない」、という条件もクリアする必要があります。
 
バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプ。UNHCRの防水シートでテントを補強する難民© UNHCR/Roger Arnold
 このように、国際法上でいう「難民」の正式な定義は、たいへん狭く限定的なものなのです。

 ニュースなどで、よく「帰宅難民」「引っ越し難民」という言葉が出てきますね。最近は、渋谷などでFIFAワールドカップの日本代表戦を観戦し、終電を逃した人たちを「ワールドカップ難民」と言っていました。

 こういった表現が「難民」に対する誤解につながるということは、4つの条件、定義を読めばお分かりいただけると思います。そういう表現を繰り返すメディアに対して、やんわりと抗議の意志を伝えるのも私たちの役目なのです。

 なぜ厳しくではなく、「やんわりと」なのか。

 それは、メディアは難民や私たちの活動について、広く報道してくれる理解者にもなるからです。実際、数年前に比べて、「〇〇難民」という表現をするメディアが減ってきたように思います。

 しかし、世界の「難民」はここ10年で何とほぼ倍増、国内避難民など強制的な移動を余儀なくされた人を加えると6850万人にのぼります。

 いまや世界は難民を抜きにして語れないのです。

 次回はその話を、先日ロシアで開催されたFIFAサッカーワールドカップに絡めてしたいと思います。
 
続きの記事:
サッカーW杯ロシア大会の出場国で、「難民問題」を抱えているのは何カ国?【UNHCR 守屋由紀】
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