RYUKYU note #12後編

快進撃の「やっぱりステーキ」、変わらぬ信念とアイデアでコロナ禍でも黒字化できた秘策に迫る

前回の記事:
「締めはステーキ」沖縄の独自文化を全国に広めたステーキ店「やっぱりステーキ」の拡大戦略
 沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来に繋がるストーリーをひも解いていきます。

第12回は、1000円ステーキを提供する「やっぱりステーキ」を運営するディーズプランニング 代表取締役 義元大蔵氏が登場。2015年に第1号店を那覇市でオープンしてから県内に店舗を広げ、わずか2年後の2017年に県外へ進出。昨年東京にも進出を果たし、コロナ禍でも黒字を保ったまま、全国に75店舗を構えるほどに拡大しています。後編は、コロナ禍でも売上が低迷しなかった企業努力と独自の戦略についてお話を聞きました(前編は、こちら)。
 

オープン初日の弁当無料配布がテイクアウト伸長のカギに


――コロナ禍で外食業界は大きな打撃を受けていますが、「やっぱりステーキ」は黒字化しています。その秘訣は何でしょうか。

 注文はタッチパネルで食券を購入するスタイルなど、DX化や効率化で安心も提供できているという前提はありますが、明確に伸びたと感じるのはテイクアウト市場です。これまで来店して「やっぱりステーキ」を利用してくださっていたお客さんは減ってしまいましたが、残った既存顧客に加えて、テイクアウトする新規のお客さんが増えました。我われにとってみれば、テイクアウトの市場が勝手に広がったという感覚ですが、その準備ができていなければ大きく出遅れていたと思います。





 今年7月に東京の蒲田に店舗をオープンしたときは、まずは「やっぱりステーキ」を知ってもらうことを目標に掲げ、オープン初日のキャンペーンで1000食分の弁当無料配布を実施したんです。世の中は自粛ムードで人も街も元気がありませんでしたが、飲食店が元気に食事を提供し、元気になれるステーキを提供すれば少しは笑顔ともにが増えるだろうと考えたのです。

 1000食は数時間で配り終えたのですが、このキャンペーン実施によって、その後も蒲田店はテイクアウト販売数が大きく伸びました。他の店舗のテイクアウトは毎日10~15食ですが、蒲田店は40~50食の注文が入るようになりました。そして、コロナ禍で困っている人に少しでも役立てればという思いで、同時に寄付も募りました。「1店舗だけ繁盛しても意味がない。街全体が活気を取り戻さなければいけない」と我われなりに考えた案で、そこで集まったお金はすべて大田区に寄付しました。困っている飲食店でも医療従事者でも、少しでも助けになればいいという必死な思いでした。

 飲食店経営がなかなか難しいと言われるなか、当社がコロナ禍で頑張ったのは、行政からの要請で営業時間を短縮されようが、お店は休まずに絶対開けることです。お客さんがせっかく来店したときに閉まっていれば失礼ですし、次から来てくれなくなるので、消毒はもちろん、手洗いやうがいといった実施するべき対策はきちんとして、ずっと開店し続けています。

 昨年6月以降で新しく開店した店舗には、店の前にすべて手洗い場を設けました。仙台のイオンモールに目玉として出店させていただいた店舗も、入口に洗面台が置いてあるんですよ。そんなことをする店は他にないと思いますが、開店し続ける代わりに、感染を防ぐためできる限り安心して来店いただける工夫や努力には気を遣っていますね。

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