女性の『買う瞬間』をつくる方法 #02

女性向け商品をつくるのは、女性の仕事?それとも男性の仕事? 【コーセー・吉野家・ライオン・RIZAP座談会】

女性向け商品をつくるのは、女性の仕事か?

田中 僕が女性向け商品に関心をもって取り組むようになった原点は、25年前に中国で仕事をした経験にあると思っているんです。当時の部下は全員中国人で、文化大革命を経験した40~50代のエリートばかり。しかも、全員女性でした。ダイバーシティ豊かな職場そのものだったんです。その環境下で、女性の能力は高いと実感したことが、女性に対して関心や理解を深める第一歩だったと思います。



小林 コーセーは女性向け商品が多いので、当然僕も日々女性のことばかり考えています(笑)。マーケティングの対象としての女性もそうですが、女性社員が多いことから、「女性が生き生きと働ける環境をいかにつくるか」ということにも強い関心がありますし、力を入れているところでもあります。

 商品開発部門は女性が多いのですが、プロモーションやデザインの部門は、実は男性が多いんです。女性同士だからわかること、女性ならではの意見というのはもちろん重要なのですが、「女性を喜ばせる」ということに関しては、男性のほうが客観的に、かつ整理して考えられるのではないかと思っています。つくった商品を、どう喜んでもらうか。そこには、男性の視点が活きるように思います。

横手 私が所属するブランドチームも、8人のメンバーのうち5人が女性です。概観すると、コミュニケーションチームは女性、デザインチームは男性が多いですね。コーセーさんと同様、女性ならではの感覚は大切にしつつ、ターゲットではないからこその男性の意見も重視しています。

田中 3年ほど前までの吉野家は、あくまで比喩ですが「ブラックスーツにブラックタイを身に着け、日本刀を持っている」ような、ザ・男性集団でした。120年にわたって牛丼をつくり続けて、「ごはんの上に肉以外のものを載せようものなら、ぶった切ってやる!」というくらい(笑)。それくらい、牛丼に強い誇りを持ち続けてきた企業です。

 そうした中、僕や河村泰貴社長が中心となり、野菜を入れた「ベジ丼」をはじめとする新しい流れを持ち込んできたという経緯があります。一般的に、「女性向けのマーケティングには、女性ならではの感性を」と言われがちですが、男性ならではの視点や発想も生かしていけるのかもしれませんね。


 

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