音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #33
マーケティング視点から解説。日本でDXが進まない、本当の理由【音部で壁打ち】
【質問】
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がよく聞かれるようになりました。音部さんは、DXについて、どのように考えていますか?
A.COVID-19がもたらしたものは、多大な被害とともに新しい生活環境と生活習慣、それにともなう新しい市場の創造と再創造です。
デジタルトランスフォーメーションの概要
デジタルトランスフォーメーションについては、さまざまな議論が続いています。せっかく質問をいただいたので、この連載でもすこし考えてみたいと思います。
まず、そもそもDXの定義を探してみたところ、経済産業省の「DX推進指標」に関する文書に、次のようなDXの定義を見つけました。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
出典:https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf
網羅的で正確な文章ですが、少しわかりにくい印象なので、簡潔に書き直してみましょう。マーケティング周辺では、顧客や社会のニーズを基にするのは自明です。また、ビジネスモデルはいずれ製品やサービスに影響するでしょう。業務、組織、プロセス、企業文化・風土はおおむねオペレーションと言い換えられそうです。競争上の優位性は競争優位と同義です。
ということで、DXとは「企業が、データとデジタル技術を活用して、製品・サービスや自社のオペレーションを変革し、競争優位を確立すること」と理解できます。
「製品やサービスが変革」されれば、消費者や顧客の満足度が上がり、売上の増加につながり、自社のオペレーションが変革されれば、同じ労力・費用でもよりよい結果が出て、効率が改善され費用が下がります。
製品の改良で費用が下がったり、オペレーションの改善で売上が上がったりすることもあるかもしれません。「DXは、データとデジタル技術で競争優位を実現すること」と理解できました。