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ルームクリップが家具D2C のbydesignを買収した狙い。インテリア領域に新たなマーケットを生み出す
bydesignのノウハウで、サービス領域の拡大を狙う
――では、逆にルームクリップ側から見た、bydesign買収のメリットは何なのでしょうか。
今年に入ってルームクリップは、新たに「RoomClipショッピング」というEC機能をローンチさせました。これによって、RoomClipで見ていいなと思った商品をそのまま購入できる世界を目指しているのですが、家具/ホームファッションの領域では、このように様々なブランドの商品を扱っているプラットフォーマーはまだいません。
ファッション領域ではZOZOが代表的ですが、家具/ホームファッション領域ではそのポジションが大きく空いています。その理由は、各ブランドがある程度立っているファッション領域に比べ、家具/ホームファッション領域はブランド化しにくく、様々なブランドを網羅しているという切り口での価値提供が難しいということがあります。そうなったときに、RoomClipでその商品が実際にどう使われているのかという情報をセットにしてお客さんに提供できるということが大きな価値になるんです。
こういった情報提供をメーカーがやろうとしても、すでに既存の流通にある程度最適化された売り方になってしまっているため、ユーザーと接点を持ってピンポイントのニーズを吸い上げるのは難しくなっています。一方でRoomClipとしては一定数のブランドを集めて終わりではなく、そこに存在する無数の顧客ニーズをRoomClipショッピングに参加しているメーカー/サプライヤーと連携しながらプロダクトとして世の中に出していくという機能を持ちたいと考えています。bydesignはそのためのノウハウやサプライチェーンを持っているので、それを生かして新しいD2Cブランドをメーカー/サプライヤーと共に立ち上げるといった展開ができると考えています。
――たしかに、自分の中に細かな希望はあれど、ぴったりくる家具がなかなか見つけられなかったりしますよね。
そうなんです。探しても見つからないから、最終的には比較的価格が安く、無難なデザインのブランドに帰着します。それで100%満足したわけではないけど、相対的にはこれしかないと納得するわけです。そのニーズを汲み取った商品を新たに開発・提供ができれば、ファッションとは全く異なるマーケットができあがると考えています。
一方で、すでにそういったニーズに応える商品を持っているのにも関わらず売れていない場合は、ソーシャルやコミュニティで発信の仕方を工夫すれば、売れるようになるという可能性もあると考えています。今はそういったD2Cモデルに最適化したプロモーション支援の準備も進めているところです。
まずは両社の強みを融合させながら、シナジー効果を生み出せるようにしていきます。
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