いま注目のビジネスパーソン #01後編

越境EC成功の秘訣は、外国人スタッフの採用。海外向けに日本のお菓子のサブスク提供「ICHIGO」の組織づくり

前回の記事:
海外向けに日本のお菓子をサブスクで提供。年商40億円「ICHIGO」成功の秘訣に迫る
 海外向けにお菓子のサブスクリプションECを展開するICHIGOは、2022年に越境EC売上高が40億円を突破する見込みです。いまや、さまざまな業種で導入されている「サブスクリプションビジネス」ですが、ICHIGOのターゲット層は海外で、世界約180の国と地域に、日本のお菓子や雑貨を詰め込んだボックスを届けています。

 越境EC専業企業として右肩上がりの成長を続ける同社 代表取締役社長の近本あゆみ氏に、海外ユーザーをどのように獲得し継続客に育てているのか、越境ECを成功に導く秘訣は何か、ユナイテッドアローズ 執行役員DX推進センター担当本部長CDOの藤原義昭氏が話を聞いた後編です。(前編記事はこちら
 

越境ECを成功に導く秘訣

藤原 これから越境ECを考えている企業もあると思います。ここは押さえないといけないというポイントはありますか。

近本 一番大事なのは、外国人で組織をつくることですね。日本人だけにやらせないこと。特にデザイナーとマーケターは絶対、外国人社員です。

 外資系の企業を見ていても思うんですけど、日本向けに出している広告で「え?」と思うようなデザインとかコピーがあるじゃないですか。越境ECを日本人がやるとそれ同じことをしていると考えています。

 いくらバイリンガルだと言っても感覚が全然違うので、必ずネイティブの外国人を採用する。それはすごく難しいことなんですけど、きちんと組織化するっていうことをおすすめしています。私は日本生まれ日本育ちで英語が得意じゃないのですが、パートナーが外国人なので、できる人を採用してその人が管理すればいいんです。自分ができる必要はないと思います。
 
近本あゆみ
株式会社ICHIGO
代表取締役CEO

藤原 ICHIGOで働いていらっしゃる方は、外国籍のほうが多いのでしょうか。

近本 外国籍のスタッフが70%くらいです。マーケター、デザイナー、カスタマーサポート、エンジニアも外国人が多いですね。

藤原 外国籍の方と働くときに会社として気をつけていることはありますか。
 
藤原義昭
株式会社ユナイテッドアローズ
執行役員DX推進センター担当本部長CDO
 

近本 ルールやカルチャーの浸透、それを徹底するうえで必要となる考え方はものすごく気をつけています。今は10カ国ぐらいの方が働いているのですが、一口に外国人といっても考え方がまったく違うんです。

 とはいえ、日本の会社なので日本の法律に則って会社を運営していかないといけないので、守るところは守っていますが、今年のはじめから、エリン・メイヤー氏が提唱する「カルチャーマップ」を参考に自社のカルチャーマップを作成し、それを浸透させるようにしています。
 
出典:『異文化理解力』

 カルチャーマップでは、日本や中国などアジア圏はオブラートに包んだコミュニケーションが好きとされ、ヨーロッパ圏は直接的な表現やコミュニケーションになるといいます。

 ICHIGOのカルチャーはこれだと明確に定め、国ごとの違いを見せながらも、自社のカルチャーとの考え方がずれている人がいたら指摘するようにしました。それは、みんなが同じ目線で物事を進めていかないとビジネスはうまくいかないなと思ったからです。

藤原 担当者間でのコンフリクトが起きたときは、どのように解決していますか。

近本 どこのチームが遅いとか、クオリティがどうかなどコンフリクトが起きるんですが、その場合は私も間に入ることが多いですね。

 チーム全員が締め切りやタスクを持っていて、それを守るために頑張るんですけど、守れなかったときにどこに不具合があったのか関係者を呼んで話し合ったり、時にはその締め切り自体を変えたり。タスク内容を変えたり、担当者を変えたりもします。カルチャーを定めてもスムーズに進まない場合は、ビジネスの舵取り自体トップがやるべきだと思うんです。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録