ファミリーマート40周年
足立光氏に聞く、好調ファミリーマート「40周年キャンペーン」の全貌
2022/02/15
昨年創立40周年を迎えたファミリーマートが2021年3月から2022年2月までの1年にわたって、「ファミマる。(様々なきっかけでファミリーマート店舗に足を運んでもらう)」を合言葉に40周年キャンペーンを展開してきました。
「40のいいこと!?」と題して、消費者に驚きと喜びを与える企画を実施。期間中の既存店月間売・同月比が競合コンビニエンスストアを連続で上回るなど、大きな成果につなげました。
今回の企画におけるアイデアの源泉や成果、そこで掴んだ手応えなど40周年キャンペーンの全てをファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター CMOの足立光氏、電通 PRソリューション局コミュニケーションプランナー/PRプランナーの加藤倫子氏へのインタビューから紐解きました。
「40のいいこと!?」と題して、消費者に驚きと喜びを与える企画を実施。期間中の既存店月間売・同月比が競合コンビニエンスストアを連続で上回るなど、大きな成果につなげました。
今回の企画におけるアイデアの源泉や成果、そこで掴んだ手応えなど40周年キャンペーンの全てをファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター CMOの足立光氏、電通 PRソリューション局コミュニケーションプランナー/PRプランナーの加藤倫子氏へのインタビューから紐解きました。
キャンペーンの軸となる5つのキーワードに込められた思い
――今回の40周年キャンペーンは、5つのキーワード(「①もっと美味しく、②たのしいおトク、③『あなた』のうれしい、④食の安全・安心、地球にもやさしい、⑤わくわく働けるお店」)を軸に実施されました。まず、このキーワードを設定した背景から教えてください。足立 5つのキーワードは、ファミリーマートがお客さまに持っていただきたいと考えているイメージを言語化したものです。たとえばひとつ目の「もっと美味しく」は、ファミリーマートの商品が「お客さまにおいしさが伝わっていない現実」に対して、実際は「とてもおいしい」ということを強く押し出して浸透させたいと考えたものです。
2つ目の「たのしいおトク」も、実は他社のコンビニと比べて、ファミリーマートは「ちょっと、お得だ」という事実を知ってもらいたいとの思いで設定しました。実際、PBなどでも他のコンビニよりもお得な商品が多いんです。さらに、ファミリーマートのアプリ「ファミペイ」を含め、いろいろなクーポンを使ったお得な買い方もできます。
3つ目の「『あなた』のうれしい」には、日本の人口の約1/3を占めるシニアの方をはじめ、女性や子どもなど、幅広い方に来てもらえるようなコンビニにしたいという思いを込めました。5つのなかでも特にいま挙げた3つに重点を置いています。これらを踏まえた5つのキーワードは40周年に限ったことではなく、今後も継続して訴求したいと考えているキーワードです。
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継続的なアプローチが大きな成果につながる
――今回、本当に多くの企画が世に出ていきましたが、それらのアイデアはどのように生まれたのかでしょうか。足立 たとえば「もっと美味しく」というキーワードでは、キャンペーンをスタートした直後の昨年3月にファミチキと並ぶ看板(定番)商品を確立したいとの考えから新商品の「クリスピーチキン」を発売しました。また、9月のファミチキ15周年キャンペーンや、12月のクリスマスに合わせて「日本で2番目に人気のチキンのお店」と題したキャンペーンなどを実施しています。
チキンといえば、専門店のイメージが強いですが、おいしさではファミリーマートも自信があります。そこで年間を通してチキンを打ち出し続けて、「チキンはファミリーマート」という位置付けを明確にできたと思います。
その他の企画では、昨年10月に出稿した、ファミリーマートのPBを「ファミマル」としてリニューアルした時の新聞広告「負けていたのは、イメージでした。」はクリエイティブエージェンシーのGOさんが担当したもので大きな話題になりました。この企画の結果、「じゅわっと肉汁!!!鉄板焼ハンバーグ」はリニューアル前と比較して約150%の売上を記録しました。
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また、「たのしいおトク」という面では、まったく新しい取り組みとして「ファミチキ」や「焼きとり」、「サンドイッチ」など、20種類の人気商品を40%増量するという企画を行いました。社内では「こんなものが本当に売れるのか」という反対意見も出ましたが、面白いクリエイティブを制作しながら、お客さまに抱いて欲しい「ちょっと、お得」をさらに見える形で表現していったのです。いま挙げたのは一例ですが、どのキャンペーンも5つのキーワードに添って、一貫性を持って一年間でやり続けたということが特徴だと思います。
加藤 様々な企画を担当させていただき、中には実施することそのもの(キャンペーン内容自体やアクション)をご提案させていただいたこともありました。電通として特に重視していたのは、その企画が消費者にとってユニークになっているか、そしてニュースになるかという視点です。ニュースになるには、新しさや驚きがある、人に話したくなる、あるいは社会的に意味があるといった要素が必要なので、その企画の何がニュースになるポイントかを企画の最初の段階から意識するようにしていました。
足立 我々は、宣伝費をかけずにPRやSNSだけでコミュニケーションを行う商品や施策も多くあります。なので、広告の有無にかかわらず、一つひとつのコミュニケーションが話題になるような切り口や仕掛け、タイミングを考え抜いて実施していきました。
――キャンペーンを振り返って、特に成果につながった企画は何でしたか。
足立 実は昨年4月から本年1月まで、大雨の影響受けた昨年8月以外で売上の前年比が上回っているんです。なので、どれかひとつの企画が当たったというよりは、どれも効果的だったし、継続したことが結果に反映されたと考えています。
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そのなかでもお客さまの印象に残っているのは、先ほどの「クリスピーチキン」や「40%増量」、クリスマスに実施した「2番目においしいチキン」の企画だったのかなと分析しています。
加藤 クリスピーチキン、40%増量、クリスマスの企画は、担当した私たちも思い出深いキャンペーンです。また、我々が提案した企画のなかであれば、生理用品マイナス2%の企画も印象的です。3月8日の国際女性デーから1年間ずっと割引をするこの企画は、PRのバリューが大きく作れました。この企画も社内で通していただくのは大変だったかと思いますが、40周年開始直後のタイミングで実施できたということもあり、ニュースに取り上げられる価値というのをメンバー全員で体感できたと思います。こちらも5つのキーワードの中の「③『あなた』のうれしい」を意識したもので、女性にも喜んでほしいという思いがあったので、実現にこぎつけられてよかったと思っています。