ファミリーマート40周年

足立光氏に聞く、好調ファミリーマート「40周年キャンペーン」の全貌

 

企画の進行は、複数同時並行。その進め方の工夫とは

――今回はファミリーマートと電通や他のエージェンシーとどのようにパートナーシップを築きながら進めたのでしょうか。

足立 5つのキーワードや40周年キャンペーンのタレントを起用することを基本とし、電通さんにリードしてもらいながら一貫性を持たせていきました。エージェンシー同士はライバルではあるんですが、仲間でもある、運命共同体として一緒に走っていただきました。これは比較的、特殊な進め方だったかもしれませんね。

加藤 そうですね。戦友のような感覚でした。

足立 従来は方向性が明確にないなかで、各エージェンシーが独自に企画を進めていました。今回は、そこに一貫性を持たせたのがポイントだったと思いますね。おそらくお客さまから見たら、まったく違うエージェンシーがそれぞれ手がけているなんて露ほども思わなかったと思いますよ。

――ファミリーマートとエージェンシーの連携は、どのように取っていったのですか。

加藤 ファミリーマートさんとは週1回の定例会を設け、電通からの提案はもちろん、ファミリーマートさんの社内で発案された企画、他のエージェンシーから提案された企画を含めて、それらをどうすれば驚きのあるニュースやおいしさの訴求につながるニュースにできるかを議論しました。といっても、他のエージェンシーの制作物に手を入れるということではなく、それをどうすれば魅力的に立たせられるか、方向性が合っているかをチェックしていました。

足立 そうですね。そういった観点から電通さんに関わってもらったことも新しかったかもしれません。



加藤 私自身も、ファミリーマートさんの社内やマーケティング組織がこう動いているんだという全体の流れが見えて新鮮な体験でしたね。

――今回のように複数のエージェンシーが年間にわたって一緒に企画を進めていく難易度は高いと思いますが、まず自社ブランドの認知を向上させたいと考える企業が行動を起こしていくときの秘訣はありますか。

足立 秘訣は、2つですね。ひとつは、どんなイメージを持って欲しいのかを突き詰めて考え一貫性をもって継続的に展開していくこと、つまり「What to say(何を伝えるか)」です。もうひとつは「How to say(どう伝えるか)」を効果的・効率的にすること、つまり、広告やプレスリリースを打ちっぱなしにするのではなく、それがメディアやソーシャルなどでどのくらい話題になるかといった目標を明確にして進め、PDCAを繰り返していくことで改善を重ね、話題化するような大きなニュースにしていくことです。

加えて3つ目があるとすれば、やり切る勇気を持つことです。昨年は強い表現を用いるコミュニケーションも多くありましたが、それをやり切るには勇気が必要なんです。

加藤 私もやり切る勇気が一番大事だと思っていましたが、この1年、ご一緒させていただいて、足立さんはその勇気のスコアが異常に高いと感じました(笑)。

私たちエージェンシーは、あの手この手で課題解決をしたりメッセージを届けたりするのが使命なので、様々なアイデア・ソリューションの提案をさせていただきます。ただ、チャレンジングなものほど、実現へのハードルが高く、アイデアを実際に形にして世の中に出すのって本当に大変なんです。今回の40周年の中には、そういったハードルの高いものも含まれていたのですが、足立さんの勇気を着火剤にしたファミリーマートさんの方々の意思決定が、40周年の盛り上がりがつくれた大きな理由なのではないかと思っています。リスクは正しく恐れるべきだと思いますが、私たちも当然そのリスクに関してもケアしながら提案・実行しているので、意思決定の立場にある方にはぜひ勇気をもっていただき、いろいろなチャレンジにご一緒できたら嬉しいですね。

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