TOP PLAYER INTERVIEW #02

PRパーソンに求められる「スキル」が10年間で変化した【ブルーカレント・ジャパン 本田哲也】

PRに求められる「2つの仕事」

 企業側、エージェンシー側にしても、本質的に求められているのは全体戦略への貢献です。全体戦略とは、言葉を変えれば「IMC(インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション)」です。

 その際に、私たちのようなエージェンシーも含めて、整理が必要なことがあります。それは、一口にPRと言っても、「①PR発想を取り込むレイヤー」と、「②PR施策の企画・実行のレイヤー」が異なるということです。



 ①は、全体戦略を策定するフェーズです。新商品の開発段階で、コンセプトに生活者のインサイトを押さえたPR発想をどう組み入れるかという役割です。我々、エージェンシーにもコンセプト策定の依頼が増えており、例えば食品メーカーから1年後に発売する商品の成分バランスも含めた戦略策定の仕事を受けることもあります。将来のマーケットを想定し、話題性を加味するためには何が必要かを議論するのです。

 PR発想も含めた全体戦略が描けたら、PRは一旦、チームから引いてもかまいません。というのも、制作やクリエイティブの方向性が明らかになれば、今度は制作に時間がかかるため、バトンを広告チームに渡すからです。そして半年後に、新商品の発売が近づいてきたタイミングで、今度は②のPRの展開案を提案し、実行に移っていきます。

 元・日本マクドナルド CMOである足立光さんは、PRの役割をエージェンシー以上に理解していると感じています。全体戦略の中でPRを効果的に盛り込むことで、さまざまなキャンペーンの話題化に成功していました。

 現代は、パブリシティだけがPRという時代ではありません。複合的な総合戦略の中で、PRが役割を果たしていくことが求められているのです。
 
他の連載記事:
TOP PLAYER INTERVIEW の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録