サスティナビリティ座談会Sponsored by ARROWS

消費者や社会から選ばれる企業やブランドの鍵となる「サステナビリティ」とは?

  SDGsやESGが企業経営における重要テーマとして掲げられる中、サステナビリティの推進は不可欠になっています。様々な企業が取り組みを加速させる一方で、現在の企業の売上を担う主要部門への理解は十分ではないケースも少なくありません。そこで今回は、「消費者や社会から選ばれる企業やブランドの鍵となるサステナビリティとは何か」をテーマに、今後、企業はどのように生活者と向き合い、ビジネスを展開していくべきか議論しました。

<参加者>
 ライオン サステナビリティ推進部 部長 小和田 みどり氏
 ヤマト運輸 執行役員(サステナビリティ推進部長)秋山 佳子氏
 本田事務所 代表取締役/PRストラテジスト 本田 哲也氏
 ARROWS SENSEI よのなか学事業部 中石 尚吾氏
 

ライオンとヤマト運輸が取り組むサステナビリティの推進


小和田 ライオンでは新型コロナが拡大し始めたときに様々な改革を行い、その一環としてサステナビリティの推進を重要課題としています。その理由は2つあり、ひとつはリスクヘッジ。もうひとつは、世の中がすごい早さで変化している機会を捉えるためです。

昨年、事業を通じて社会課題の解決に貢献しようと、中長期経営戦略フレーム「Vision2030」を策定しました。その中核として、「サステナビリティにおける重要課題を解決するための活動」と「成長戦略」の両輪を回していくことを明確に打ち出しています。

サステナビリティをいかに事業の成長に結びつけるかが大きなポイントです。具体的には、ライオンは約130年間、日本の子どもから虫歯をなくすための啓発活動を継続して続けてきました。1969年からの約50年でハミガキを2回以上の比率は4倍に、こどもの虫歯比率は1/4に、そして市場は4倍に拡大しました。今では12歳児の虫歯数は一人あたり0.6本と1本を切る程になりましたが、経済的困窮家庭になると驚くことに家に歯ブラシがない家庭もあり、多くの虫歯を持つ子が存在します。そういった現実に直面したことから、当社では、そうした子どもの支援活動である「子ども食堂」をハブにして、貧困世帯の子どもへの歯磨きの習慣化を促しています。

また、CO2削減をはじめとしたエコな商品やサービス開発などにも取り組んでいます。2020年からは花王さんと協働して、フィルム容器のリサイクルを行っています。生活者の意識や行動を変えるのは容易なことではないので、1社だけでなく、色々な企業や自治体と組んで活動をしています。
 
ライオン サステナビリティ推進部 部長 小和田 みどり氏


秋山 ヤマト運輸は2021年1月に中期経営計画「Oneヤマト2023」を発表し、経営構造改革を行っています。中期経営計画の重点施策の一つに「サステナブル経営の強化」を掲げ、同年4月に「サステナビリティ推進部」を設立し、私が部長を務めています。サステナビリティの取り組みをグループの成長につなげられるように経営と統合させることを目指しています。

当社がサステナブル経営に取り組む背景は2つあります。1つは物流業界に対する社会からの要請です。気候変動や脱炭素はグローバルリスクの上位に入っており、業界最大手の責務としてヤマト運輸がどう対応するか考える必要があります。もう1つは、グリーン物流をサプライチェーン全体でどのようにつくっていくかです。

これらは、当社の経営理念である「豊かな社会の実現」への貢献につながります。その上で、サステナビリティ領域を事業課題と捉え、取り組んでいくため「ヤマトグループ サステナブル中期計画2023【環境・社会】」を策定しました。

また、今後サプライチェーンを含めたステークホルダーやパートナー企業との連携が必要になるので、取り組みを可視化していく必要があります。
 
ヤマト運輸 執行役員(サステナビリティ推進部長)秋山 佳子氏


――社内におけるサステナビリティの浸透度は、いかがですか?

小和田 サステナビリティと言い始めた経営層と若い社員はやる気があるのですが、問題は中間層の部門長ですね。「大事なのはわかったけれど、うちの部とどう関係づけられるのかわからない?」という感じです。やはり、サステナビリティを「自分ごと化」できないという問題があったので、それを解決するために部門長に向けた勉強会を開催しました。

秋山 本年度は、環境、人権、責任ある調達方針、そして、ビジネスパートナーガイドラインなどを揃えました。今後は、社員への浸透を含めてどう具現化するか、またステークホルダーと共通認識をつくることが課題です。社員一人ひとりが「自分ごと化」できるようしっかり社内に浸透させていきたいと思います。

本田  本当はミドルマネジメントが一番エキサイトするような、サステナビリティと実業を組み合わせた文脈を会社がつくらないといけないんですよね。
 
本田事務所 代表取締役/PRストラテジスト 本田 哲也氏

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