サスティナビリティ座談会Sponsored by ARROWS

消費者や社会から選ばれる企業やブランドの鍵となる「サステナビリティ」とは?

 

サステナビリティはイノベーションのチャンスであり、おさえるべきはオーセンティシティ


小和田  ライオンでは「NONIO」というマウスケアブランドがあります。もともと口臭科学から生まれたブランドなのですが、この商品がもたらす世界観に立ち返って考えたときに、息の不安がなくもっと人と人が近づけたらコミュニケーションが活性化する、ということから「開け自分!」というパーパスに行き着きました。

この「パーパス」という発想で何を解決するかを考えたところ、実はそれが社会課題につながっていたと気づいたんです。「サステナビリティをやらないといけないから」という理由から入るのではなく、「この商品やサービスは何のために存在しているのか」に立ち返っていくと、意外とそこにサステナビリティと事業の両立のヒントが転がっているという気がします。

中石  先日、「サステナブル・ブランド国際会議 2022 横浜」で花王の長谷部佳宏社長がプラスチックを別の形に転用していく活動のお話をしていました。具体的にはリサイクルが難しくなってしまった細かいプラスチック素材を固めてコンクリートの代わりに使うと耐久性が高い道路ができるというもの。廃棄するしかなかったプラスチックが交通網のサステナビリティに貢献できるというお話をされていたんです。こういうふうに考えると、新しい事業やアイデアが生まれますし、ポジティブに向き合う楽しいテーマになりますよね。
 
ARROWS SENSEI よのなか学事業部 中石 尚吾氏


本田  サステナブルをテーマにした話し合いを道徳の時間だと思わずに、イノベーションのチャンスだと捉えたいですよね。加えて考えて欲しいのは、「自分たちらしさ」という意味の「authenticity(オーセンティシティ)」です。翻訳が難しいので、私は「裏表のない自分らしさです」と言っているんですけど、オーセンティックかどうか、それはあなたがやるべきことなのかっていうこともあると思います。

自分たちの持ち場において持続可能にするにはどうするかを考えることが持続可能になるので、「authenticity(オーセンティシティ)」、自分らしさの意識は大事ですよっていう話はよく企業にしています。

コロナ禍のアメリカでは、「DO YOUR PART=まずあなたができる、あなたの持ち場でやりなさい」ということがよく言われていました。「SDGsが叫ばれ始めたから、その影響でうちの経営層もいよいよサステナビリティと言い始めたな」みたいなことになると持ち場感や手触り感がなくなる。そうではなくて、自分たちが従事してきたこと、守ってきたことから実はできると考えると、コミュニケーションの仕方や結果が変わってくる気がするんですよね。

中石 そうですよね、自らのドメインを守って進めていくことは企業がサステナブルに取り組むにあたって重要なポイントだと思います。
 

 競合他社と共創する社会に


――サステナブルに取り組む企業に対してメッセージをお願いします。

本田 まずは「DO YOUR PART」、自分たちの持ち場で取り組むということですね。その一方で、サステナブルや環境問題は1社だけで立ち向かえるテーマではないので、競合企業も含めてさまざまな組織と一緒にナラティブ(=社会で共創・共有される大きな物語)なアプローチをしていくことが持続可能な活動につながると思います。それが新しい枠組みだと考えています。

中石 持続可能な社会を目指す中で自分たちが持続可能でないと進まないですよね。企業の取り組みと、社会の理念がくっついて歯車がガラガラと動くと社会がどんどん良い方向に向かうでしょうし、そういうことで共創も増えていくと思います。さらに、知っていただくという視点で申し上げると、私どもがご支援している学校の現場でも、多くの先生方も子どもたちにサステナビリティをどう教えたらいいかがわからないという声をよくいただきます。その中で、先生が子どもと一緒に実際の企業の取り組みを学ぶと、「そういうことをやっている企業なんだ」と学びも深まるでしょうし、具体性を帯びるので自分もアクションしていこうとか、お母さんやお父さんに言ってくれるみたいなことが起きることも多いと考えています。そうした流れで、学校現場も社会や企業の取り組みに対してポジティブな意味合いで歯車のひとつになればと思っています。

秋山 自分たちの事業が、社会課題にどう向き合うかという明確な軸を持つ一方で、当社だけでの推進は難しいので、自動車メーカーなど様々なステークホルダーの協力や地域の方々の理解、そして国の政策などとの共創が必要です。

小和田 先ほど、お話させていただいたとおり、会社のパーパスに紐づく活動から始めたら良いのではないでしょうか。自分たちができることからスタートして成長していくと、もっと色々なことができるし、次第に大きいことができるようになります。最初から大きなことを目指すと続かないので、もし迷われていたら、自分たちのパーパスに戻ると良いヒントがあると思います。

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