音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #38

脱・OJTという名の放置、マーケター育成で大切な3つのポイント【音部で壁打ち】

 

2:仕組み化することで、マネージャー間の育成格差をなくす




 「2年目までに獲得してもらいたいスキルや経験」が明示できたら、すべての新人全員がもれなく確実に達成できるよう、1年分の「育成計画書」を用意しましょう。10年目の腕利きのマーケティングリーダーになるためには、多様な経験や巡り合わせなど不確実な要素も必要になりそうですが、「優秀な2年目」には新人全員がなれると思います。そのための手続きを示すのが育成計画書です。各マネジャーが、それぞれの新人が担当するプロジェクトなどを勘案しつつ作成します。

 育成の仕組み化や標準化は、上司であるマネージャーの役割や個性を矮小化するものではありません。こうした標準化されたメニューは「最低限、獲得すべきスキル」であって、「これ以上は教えてはならない」というものではないからです。むしろ標準化されたメニューが設定されていることで、それぞれのマネジャーや、担当するプロジェクトに固有のトレーニングを実施しやすくなるでしょう。大きなブランドには大きなブランドなりの学びがありますし、小さなブランドには小さなブランドに固有の経験があります。育成する上司がたどってきたキャリアによって、それぞれに得意不得意もあると思います。標準メニューに加えて、各上司が得意とする領域の知見も提供していきましょう。

 教えることで、上司にとっても思わぬ経験値の獲得につながることがあります。自分の強みや考え方のアルゴリズムは通常、暗黙知として備わっています。「教える」という行為は、そうした暗黙知を形式知化する必要に迫られます。普段は暗黙知で問題なくても、スランプに陥るといつものように考えられなくなることがあります。もし自分の考え方やモノの見方を形式知としてまとめてあれば、自身のアルゴリズムを再インストールするように、スランプから自分で脱するきっかけに使えます。

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