成果を出すコンテンツマーケティング虎の巻 #06

インフルエンサーの発信がメディア露出に波及。逆転現象を狙ったKDDIの新しい取り組み

前回の記事:
全てのマーケターに必要な「PR脳」とは何か? 【KDDI 西原由哲】
 

CtoCコミュニケーションの拡張


 前回はKDDIのコンセプトショップである「GINZA 456 Created by KDDI(以下、GINZA 456)」でトライしたCtoCコミュニケーションについてお話しました。お客さまのインサイトを想像し、広告脳ではなくPR脳で最適なコミュニケーションを設計した事例として、インスタグラマー経由での情報発信をお話しました。今回は、そのCtoCコミュニケーションを発展させた2つの事例をお話します。

 ひとつ目は、1月中旬まで開催していた「HOKUSAI REMIX」という体験イベントです。日本が世界とつながることとなった国際通信が150周年を、葛飾北斎生誕が260周年を迎えたことを記念し、日本文化の象徴である“HOKUSAI”を日本文化の発信地である銀座から通信とテクノロジーでREMIXして発信する企画でした。電子楽器で北斎の富嶽三十六景を操る、さらに自身が浮世絵アバターになって北斎の波をサーフィンする体験です。

 こちらは、完全予約制の中、4500人を超えるお客さま、そして海外も29カ国から参加してもらい、体験を軸に通信で世界をつないだ企画となりましたが、これまで同様にPR脳でのコミュニケーションを実施しました。2021年9月まで開催していた「捕まえて集める境界のない群蝶」では、従来のM (メディア)to Cに加えてInstagramでのC to C手法を軸にコミュニケーション設計して奏功しましたが、「HOKUSAI REMIX」では、そのインスタグラマー発信に加え、ユーチューバーやティックトッカーと一緒になったCtoCコミュニケーションを実施しました。静止画だけでなく、動画表現への共創の拡がりです。

 YouTubeといっても、企業のいわゆる“案件”としてではなく、メディアと同じようにユーチューバーに取材してもらい、フォロワーであるお客さまに届けていく考えです。企業が制作するクリエイティブももちろん高質で良いのですが、「生活者により自分ゴト化されるクリエイティブ」をインフルエンサーと一緒に共創する実験です。

 この場合は、PRと同じく露出ゼロというリスクもありますが、そこは“現地の体験価値”を信じて臨みました。結果、とても個のチカラを感じられる多くの動画が投稿され、SNSから始まるコミュニケーションの一助となったのです。こういったSNSを中心として広がった体験模様は、メディアにも伝わり、複数の情報番組をはじめ、著名ドラマのロケにも使われるなど大きなPRにもつながりました。
      
 
@fantasticpaisen 銀座456の北斎リミックスに遊びに行きました💖#ファンタスティック⭐️パイセン #TikTok教室 #北斎リミックス #エゴロック #ドラム #銀座456 ♬ オリジナル楽曲 - ファンタスティック☆パイセン

 根底の考えでは、インフルエンサーを「拡散を依頼する人」ではなく、「価値共創パートナー」とみています。生活者が二次創作をする、つまり価値の共同創作者となる考えです。

   
<メディアリレーションのみの従来型> 
   
<HOKUSAI REMIXでのCtoC>

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