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売れるモノにはワケがある。PR目線で読み解くヒットの構造 #06

映画「カメラを止めるな!」ヒットで再認識した、PRの大原則

前回の記事:
「IQOS」「経口補水液」ヒット商品には、未来を見据えたPR活動がある【ラウツマ 松浦隆】

PRが実現し得る“ジャパニーズ・ドリーム”とは

 原価に数百倍、数千倍、場合によっては数万倍の違いがあっても、売価が同じものが、この世の中にたったひとつだけあります。

 車で言えば、100万円ほどの軽自動車と3000万円超えの限定フェラーリが統一価格で売られているのと同じことです。ちょっと信じがたい話ですよね。しかし、ある業界においてはそれが常識で、原価が300万円のものから300億円のものまで幅広くあります。

 すでにおわかりの方もいらっしゃると思いますが、答えは「映画」です。
 
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 製作費がいくらであろうと、一般的な劇場で公開されるのなら、基本は1800円(一般)。もちろん、プレミアムシートや各種割引などもありますが。

 見方を変えると、低予算映画はPRの工夫によって、その製作費からは考えられないほどの興収を得られる可能性がある。“アメリカン・ドリーム”、いや“ジャパニーズ・ドリーム”を見られる可能性が多分にあるのです。

 今回はPRが奏功して大ヒットにつながった例として、最近話題のゾンビ映画『カメラを止めるな!』(監督:上田慎一郎)を取り上げてみたいと思います。
 

低予算映画のヒットに、新たな歴史が刻まれた

 本作は製作費300万円という驚きの低予算ながら、全国映画動員ランキングで10位にランクイン(8月5日時点)するなどの好成績を記録。当初は都内のミニシアター2館での公開だったのが、あれよあれよという間に150館で拡大公開されることとなり、さらには海外での公開も決まったそうです。
 
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 ちなみに、製作費が最も高額な映画は次の通り。

1位 『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(2007)
3億4100万ドル(約375億1000万円)
2位 『クレオパトラ』(1963)
3億4000万ドル(約374億円)
3位 『タイタニック』(1997)
2億9440万ドル(約323億8400万円)

 実に、『カメラを止めるな!』を1万本以上撮れる計算です。

 『カメラを止めるな!』と同様の低予算作品の例として、ホラー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)が挙げられます。製作費は6万ドル(約660万円)と、『カメラを止めるな!』の約2倍ほどながら、全世界興収はおよそ2億4800万ドル(約272億8000万円)という大成功を収めました。また、同じくホラー映画の『パラノーマル・アクティビティ』(2007)の製作費はさらに安価で1万5000ドル(約165万円)。しかし全世界興収は約1億9300万ドル(約212億3000万円)を叩き出しました。

 ※製作費および興収のデータの出所
 「シネマトゥデイ」https://www.cinematoday.jp/page/A0005537

 低予算でもヒットした作品の背景にあるのは、これまでにない斬新かつ大胆な撮影手法と脚本。これぞ、まさに“アメリカン・ドリーム”。『カメラを止めるな!』に関しては“ジャパニーズ・ドリーム”と言えるでしょう。
 

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