新ブランド研究

メルシャンから輸入ワインの新ブランドが誕生、縮小傾向にあるワイン市場を活性化できるか【新ブランド研究】

 

ワインエントリー層から、日本の価値観に変化を与える


――新ブランドのターゲットは、どのような人を想定していますか。

 ワイン市場全体のボリュームゾーンは50~60代ですが、今回のブランドのメインターゲットは、40代くらいに設定しています。実は40代という年齢層は、結婚して子どもがいる家庭であれば、子どもから少しずつ手を離せるような年齢になってくる頃で、家庭でワインを楽しみ出す人が多い層なのです。そういったワインエントリー世代のボリュームを増やすことが、これからのワイン業界を活性化させていく要因になると考えています。

――これからどのようなコミュニケーション施策を展開していくのでしょうか。

 まずは、異なる産地のワインをブレンドしている商品があるという認知拡大をおこない、お客さまには実際に飲んでおいしいと感じてもらいたいです。その後、背景にある世界中のワイナリーの物語やワインの奥深さに触れ、よりワインに興味を持ち、好きになお酒のひとつになってもらいたいと考えています。

 実際に発売前のタイミングからデジタルでの情報拡散を目的として、約140万人のフォロワーを持つキリンビールのTwitter公式アカウントでブレンズ赤白2本セットが抽選で100人に当たるフォロー&リツイートキャンペーンを行いました。その結果、10万リツイートを達成し、発売開始後1カ月目の認知も過去最高レベルとなりました。認知拡大という側面ではSNSを活用し、お酒の関心が高い人に向けて発信していくことが、成功への道かなと考えています。

 それと並行し、「世界と共に創るおいしさ」というタグラインの下、ブランドの志や取り組み、「環境への負荷軽減」「産地との共存」「人への負荷軽減」「情報の見える化」といったお客さまとのお約束(4つのクレド)、ワイナリーとの物語などについても、オウンドメディアやnoteなどのSNSから発信しているので、今後も継続していきたいと思います。ワインへの興味から、私たちの取り組みを認識してもらうことで、より強い関係値を顧客と築くことができると信じています。

 さらに、セミナーなどのリアルの場では、ワインの奥深さや醍醐味を体感していただき、その体験を拡散させていくことにも挑戦していきたいです。すでにオンラインではセミナーを実施していますが、リアルの場であれば、よりブランドに愛着を持っていただけると考えています。



――ブランドの今後の展望をお聞かせください。

 私は、描いた夢の大きさがそのブランドの到達できる地点を決めると考えます。そのため、認知拡大から商品が購入されるという、単なる商品の成功だけではなく、長期の展望としてワイン市場全体を変えていくことを目指しています。

 メルシャンが酸化防止剤無添加のワインというカテゴリーをつくり上げたように、今回のブレンズやボルドーのほかにも商品ブランドを拡張し、新しいカテゴリーを確立できるイノベーティブな商品づくりによって、新たな市場創造を目指していきたいです。また、食卓の真ん中にワインがあるような、日本人の生活の価値観が少し変わるような商品を続々と、世の中に送り出していきたいですね。
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