【速報】カンヌライオンズ2022現地レポート #1

【カンヌライオンズ2022 速報レポート】3年ぶりのリアル開催、現地の盛り上がりは?

コロナ禍が世界を覆い始めたのは、2020年春頃からです。毎年6月下旬にフランスのカンヌで開催されるカンヌライオンズも2020年は、応募作の審査も含めて中止を余儀なくされました。翌2021年には、2年分の応募作の審査が行われ、受賞作を発表したものの、現地で贈賞式やセミナーなどが行われることはなく、すべてオンラインでの開催となりました。そして、いよいよ今年2022年。2019年以来、実に3年ぶりとなる現地開催となりました。
 
 

カンヌライオンズに影響を与える2つのトピック


 こんにちは!多摩美術大学で広告論/マーケティング論/メディア論を教えている佐藤達郎と言います。2018年と2019年には、このアジェンダノートで現地から「カンヌライオンズ速報」をお届けし、2020年と2021年ではオンラインでのLions Liveをご紹介してきました。

 私自身はADKと博報堂DYメディアパートナーズで長年働いて、2011年から現職となりました。カンヌライオンズには2002年に初めて参加してから、今年で17回目の参加になります。最初に参加した時には、まさか自分がこんなに長きにわたってカンヌライオンズに関わり続けるとは思ってもいませんでした。

 カンヌライオンズ(正式名称はカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル)は今年で69回目となる、世界で最も影響力を持つ広告・マーケティングの祭典です。29の応募部門(ライオンと呼ばれます)を持ち、200近いセミナーが開催。文字通り、世界の広告ビジネス、マーケティング・コミュニケーションをリードする存在となっています。
      
贈賞式での登壇者と、集う参加者。ノーマスクで歓声も。

 ところで、日本でカンヌライオンズに興味を持つ方にとって、今年は特に具体的に影響を及ぼしそうなトピックスが2つあります。

 ひとつ目は、コロナ禍とウクライナ紛争の影響です。コロナ禍は収まりつつあるとはいえ、きちんと行って帰って来られるのか…。2022年6月現在、日本では帰国前72時間のPCR検査が義務付けられており、「そんなのどこでどうやればいいのか?」という疑問もクリアしなければならないし、日本の空港出発時にはワクチン接種証明をスマートフォンのアプリで確認してもらわなければなりません。さらに、航空券はウクライナ紛争の影響で簡単に入手できないなど、例年よりかなり現地での参加のハードルが高くなっています。

 そして会場徒歩圏のホテルが例年にも増して予約しづらいようで(世界の人はそんなに参加するの!?)、やむなく隣町のホテルを予約したという話も複数耳にしました。

 2つ目は、カンヌライオンズ日本代表事務局が、日本経済新聞社(以下、日経)に変わったということです。長年、事務局を務めていた映画関連会社から2019年の秋に変更になったのですが、その後は非開催やオンライン開催が続いていました。日経が事務局になってから、リアル開催は初めてになります。

 実際、日経が日本代表事務局になってからの活動は、さすがだなと思わせるパワーがありました。前の会社の担当者の方も一生懸命に活動されていましたが、会社の規模の違いもあり、例えばWebサイトの更新ひとつとっても以前は滞り気味のところがありました。同社が事務局になってからは、公式Webサイトは相当に充実したコンテンツが溢れるようになっています。

 さらに今回、日経は現地でもカバナと呼ばれるメイン会場のすぐ外にあるスペースを2つ借りて独自のイベントを実施。日本からの審査員を招いて毎日のように審査会報告会を催すなど活発に活動し、さらに「日経ナイト」を開いて懇親にも努めるようです。
    
カバナと呼ばれる一帯にある日経のイベント・スペース。
 
日経イベント・スペース内では、日本人現地審査員セミナーなどを開催。

    こうした活動は、日本からの参加者にとっては、情報の量も増えネットワーキングにも資することなので、とても良いことだと思っています。来年以降、日本からのカンヌライオンズ現地参加がどのような展開を見せるのか、今から楽しみです。

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