新ブランド研究

一休から“宿”特化型SNS「YADOLINK」が誕生、なぜこの時代に独自SNSをつくるのか?

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  2022年4月19日、高級ホテルや旅館予約サイト「一休.com」を運営する一休が、上質な宿泊体験が写真で見つかる宿特化型SNS「YADOLINK(ヤドリンク)」を開始した。このSNSは旅行先で撮影した写真をコメントやタグと一緒に投稿ができ、リアルな宿泊体験を見ることができる。SNSではInstagramやTikTokなどが人気を集めている中、なぜ一休は新たなSNSを独自で立ち上げるのか。同社で「YADOLINK」を担当する新規事業本部 YADOLINK事業部長の佐藤亮介氏に話を聞いた。
 

この時代に独自のSNSを作った背景と狙いとは


「YADOLINK」は、ホテルや旅館を訪れた人が自ら撮影した写真を投稿できる宿特化型SNSになる。アカウント開設は無料で、旅行先で撮影した写真をコメントやタグ付けして投稿できる。他のユーザーの投稿を閲覧する場合は、旅行先として検討している場所の地名や泊まりたい宿のスタイルに合わせて、タグで絞り込んで検索できる。
   
実際の YADOLINKのサイトのトップページ

 同社がこのSNSを立ち上げた背景は、「一休.com」には日本全国の高級ホテルや上質な宿を知るヘビーユーザーが大勢いるのにも関わらず、宿泊者の多くは宿の情報を発信していないという課題があったからだ。

「コロナ禍以前、社内にユーザーを招きインタビューを行う機会がありましたが、そのとき『最近、行ってよかったホテルや旅館はありますか?』と質問すると、ユーザー同士で楽しそうに話したり、盛り上がったりしていました。その人たちが持っている情報を集めるプラットフォームをつくることができれば、より『宿好き』の人に価値を提供できるのではないかと考えました」と、YADOLINK事業部長の佐藤氏は語る。

 ホテルや旅館などの宿好きの熱量の高いユーザーが、心おきなく語ることができる場所。その人たちが持っている情報を集約し、多くの人に貴重な情報を届ける場にしたいという考えがある。
    
一休 新規事業本部 YADOLINK事業部長 佐藤 亮介 氏

 主なターゲットは、宿に対する熱量が高いラグジュアリー層だ。しかし、「それは決して価格帯だけのラグジュアリーではない」という。「一休.com」のデータから明らかになったのは、宿に対する熱量が高い人たちをセグメントすると、結果的に高級な宿に泊まっている。そんな普段から高級宿に泊まっている人が、オススメするビジネスホテルというだけで信頼できる情報になると考えている。

「YADOLINK」はアプリではなく、あえてWebサイトからサービスをスタートした。その理由について佐藤氏は、「アプリはダウンロードするというハードルがありますが、Webサイトであれば、ワンクリックで気軽にサービスを利用できます」と言う。また、「一休.com」のヘビーユーザーの中には、そもそもSNSを利用していない人も一定層いるため、幅広い人に利用してもらうにもWebサイトからのスタートは欠かせなかった。

 また、これらの狙いを達成するために大事なのは、投稿される情報の信頼性である。それを担保するために、サービスのローンチ前に「一休.com」のヘビーユーザーにテスト的に使ってもらい、最初から信頼できる投稿のみを集めた。今後は、さらに信頼性を高めるために「YADOLINK」から公式で認証バッジを付けるなど、初めて利用するユーザーにも信頼度の高い情報が伝わるように設計していく考えだ。

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