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「CRM嫌い」で有名なファミマ 足立光氏は、本当にCRMが嫌いなのか

  先日、ファミリーマート CMOの足立光氏のFacebookでのとある投稿が話題になりました。その内容は「自分はデジタルマーケが必要ないとも、CRM(Customer Relationship Management)が全く効かないとも言ってないつもりだったけど、そう誤解されていることが昨晩判明。どうしよう?(笑)」という内容です。同氏がそう認識をされてしまっている背景には、過去にビジネス系メディアのインタビュー記事の中で「CRMは幻想だ」という否定的な発言をしたこともあるようです。

  そこで今回、数多くのCRM施策を仕掛け、この領域に知見を持つゴルフダイジェスト・オンライン(GDO) 執行役員 CMO/CIOの志賀智之氏との対談を通じて、「CRMは本当に幻想なのか」「もし幻想でないなら、どう実行すれば効果的なのか」など、現代におけるCRM論について考えました。
 

「CRMは幻想か」足立氏と志賀氏が考える


――2019年にビジネス系メディアに掲載された記事で、足立さんは「CRMは幻想だ」とCRMに対して否定的とも受け取れる発言をしています。一方で、志賀さんはGDOでCRMを意識してビジネスを進めています。対照的な考えを持つように見えるお二人に、それぞれの視点からCRMに関する考えを伺いたいと思っています。まずは足立さん、いかがでしょうか。
     
ファミリーマート
エグゼクティブ・ディレクター チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)
足立 光氏

足立 以前、「CRMは幻想だ」と書かれてしまっていますが(笑)、私が言いたいのは、自社データの購買履歴だけをもとに何かアクションをとっても、経営を左右するほどの戦略が継続的に打てている会社はない、という意味なんです。私の考えはあの記事をきちんと読んでも分かると思いますが、そもそもCRMという言葉の定義が広すぎるのと、私の言葉が足りなかったので、いろいろな方に誤解を与えてしまったのかなと思います。

なので、弁明するわけではないですが、CRMが全くダメだとは思っていなくて、お客さまの声を聞いて商品やコミュニケーションを改善していくことは、すごく大事だと思っています。たとえば、毎月定期的に商品を届けるようなビジネスでは、いかにお客さまの満足度を上げて解約率を減らすかということが重要になりますよね。そういう意味では、私も実際にCRMに取り組んでいます。

一方で、私が危惧しているのは、特に小売や外食チェーンなどの企業が自社の購買履歴データを大量に取得して、何かしらのクーポンを打てば勝てると短絡的に考えていることですね。それらのビジネスにとって購買履歴データは改善にはもちろん有用ですが、経営を左右するほどのインパクトを与え続けられるかと言われると、そこには疑問があります。要は、CRMはいろいろな改善に役立つので絶対に取り組んだほうがいいけれど、必要以上に大きな期待を抱かないことがポイントな気がします。志賀さんは、どう思いますか。

志賀 足立さんの考えと同じですね。GDOは、顧客基盤を大きくするための取り組みとしてCRMに取り組んでいますが、それだけで満足しているわけではありません。当然、既存顧客であるリピーターだけでなく、新規顧客も増やさなければいけません。だから、新規顧客とリピーターの獲得の両輪で考えなければ、ダメだと思っています。

それから、新規とリピートは対立構造になりがちですが、どちらか片方だけをやっている会社はありませんよね。我々にしてみれば、ゴルフ人口がこれ以上伸びづらいことを考えると、リピート顧客を増やしていくのは、ひとつのアプローチとしては正しいと思います。でも、GDOがアプローチできていない顧客はまだマーケットに多くいるので、その方たちに対してアプローチしていくことも当然、実施しなければいけないことです。

足立さんがおっしゃるように、CRMは言わば、過去の伝票なので、そこから何が見えるかというと結果なんですよね。私たちはIDで顧客管理しているため、「このお客さまが何をどれくらい購入したか」をデータで追える状態にはありますが、それだけではお客さまの解像度は上がりません。データ以外にもいろいろなタッチポイントをつくり、お客さまとの接触回数を増やしていかないと、お客さまの姿は分からないんです。
   
ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO) 執行役員 CMO/CIO
志賀 智之氏

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