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「お客さまの喜びこそCRMの本意」ファミマ 足立光氏 GDO 志賀智之氏対談【後編】

 

自分も、いち消費者視点であることを忘れない


―― お二人の話を聞いていると、「お客さまのことを見よう」「お客さまが喜ぶことをしよう」という、言わば当たり前のことです。ただ、その当たり前ができていない企業が多いと思います。なぜそれを実現できるのですか。

志賀 お客さまとの関係性を良くしたいという思いを企業側が持つことに尽きますね。そのためにデータを活用するだけでなく、コミュニケーションの質を向上させ、しっかりとお客さまを見ることにフォーカスすることが大事だと思います。
   
ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO) 執行役員 CMO/CIO
志賀 智之氏

足立 ひとりの消費者としての視点をなんとなく忘れてしまっている人が多いですよね。本当にこの施策で自分には響くのだろうか、購入するのだろうか、動くのだろうかと、消費者の視点で検証することが大事だと思います。

志賀 データ活用をしていると、それだけで「仕事をしている感」が出てしまうんですよね。マーケティングオートメーションの使用も同じですね。お客さまにとって価値のあるコミュニケーションをしなければなりません。

足立 そうですね。マーケティングオートメーションは、導入しなければ負けてしまう「Point of Failure(POF)」ですので、活用した方がいいことは間違いありません。ただし、勝つためのツールではありません。一時的に売上は、上がるかもしれませんが長期的に見たときの競争優位としては厳しいです。

※POFとは、商品やサービスを選ばない理由、選ばれない理由、明らかにダメな要素を指す。他の商品やサービスと比較して、あると選ばれることがない価値だと考えることができる。

志賀 GDOでは膨大な量のメールを送っていたのですが、逆にそのメールの量を減らすために、マーケティングオートメーションを導入しました。それぞれの部署でおくっていたメールを統制するために活用した結果、すべてを見える化できました。その後、優先順位の高いメールだけを送り、それ以外は送信しないようにしたんです。

営業部からは配信数が減ると、売上が減ってしまうと言われましたが、半分にしてもコンバージョン数は変わりませんでした。また、お客さまによっては、今まで以上にメールが届くケースもありましたが、オプトアウトされていません。結局、お客さまのアクションに対して、しっかりコミュニケーションをとることが重要ですね。
 

反応を分析する方が、よほど価値がある


――データやツールは使い方次第だということですね。足立さんは、どのようにデータを使っていますか。

足立 全然見てないよ、というのはさすがに嘘かな(笑)。データは、商品とコミュニケーションの2軸で見ています。興味深いのが、商品の認知率は低くてもリピート率が高い商品です。もちろん認知率が高くてリピート率も高い商品の売上が良いのですが、認知は低くてもリピート率が高い商品は、認知率が上がれば、売上が伸びる確率が高いんですね。基本的な分析だと思いますが、そういった観点からデータを定期的に見ていますね。

一方でコミュニケーションという側面では、たとえば新キャンペーンが始まるときにその反応を時間単位で見ていますね。リリース直後は非常に大事なので、どのような反応があるか見ながら、次はこう変えようかなどと考えています。例えば、Twitterでどのくらいリツイートされたかを見るようにしていますね。

志賀 反応の分析は、価値がありますよね。先ほどの、商品のポートフォリオは基本としてやるべきですが、それ以外のデータを一生懸命に積み上げてお客さまの特徴を掴もうとしても、そこから出した仮説がすごく当たるのかというと、そうではありません。そんなことをするくらいなら、マーケターがお客さまにとって価値があると思うことを実施してみればいいんです。その反応を見た方がよほど学びがあります。

例えば、メールを30万通送って100コンバージョンしか起きなかったとしても、もしかしたらその100コンバージョンにすごく意味があるかもしれません。そのコンバージョンした100人は何を価値と感じて反応してくれたのかを学ばないといけないのです。逆に1000コンバージョンできたから良いシナリオだったかというと、それも一概にそうとは言えません。

よく社内では、コンバージョンにだけ囚われないほうがいいと言っています。デジタルでは、短期的にコンバージョンを追いかけてしまいがちですが、それが本当にお客さまにとって価値があるものなのかを考えた方がいいと思いますね。

――お客さまを喜ばせるために、その心理をどう捉えていますか。

足立 ファミリーマートは、先ほどお伝えした通り、すごく幅広い層のお客さまがいらっしゃるビジネスです。そこで、例えば、街で出会った友だちに忖度しない意見を求めたり、スマートフォンに入っているアプリを見せてもらったりして、お客さまの姿を想像しているんです。また、東京だけではなく、地方の人がどのように感じているかも想像していますし、地方に行ったら必ず、地元の方が買い物している場所に行って、おいてある商品や並べ方などを見るようにしています。自分自身がお客さまの気持ちにならなければいけません。

志賀 我々はデジタル業界で、データが簡単に取れてしまうからこそ、そればかり見てしまいがちです。そのため、イベント参加や店頭に立つなど、リアルなお客さまを直接見なければいけません。マーケターは、積極的にお客さまとコミュニケーションを取らなければ、何を考えているのかわからないんですよ。

GDOは業界的に嗜好性の高いゴルフという趣味の領域なため、商品の購入からプレーや練習するときなど一貫してゴルフライフに寄り添うことができるので、タッチポイントは作りやすんです。そこからお客さまの声を取得し、最適な提案をすることを日々試行錯誤しています。

足立 今日は、CRMを切り口に大事な話がたくさん出てきましたね。非常にボリューミーな内容になったと思います。ありがとうございました。
   
足立氏(左)と志賀氏(右)
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