TOP PLAYER INTERVIEW #34
小林製薬 のCDOに就任。石戸亮氏が描く次の展望とは?【インタビュー】
パイオニアでCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を務めていた石戸亮氏が、今年1月から小林製薬に入社し、新設されたCDOユニット長に就任する。入社を決めた理由や石戸氏が考える自身の役割とキャリアの積み方、飲食店のオーナーやエンジェル投資家など、さまざまなことに取り組む背景などについて、詳しく話を聞いた。
パイオニアでの役割を全うし、次のステージへ
――2023年1月からパイオニアを社員からコンサルティング契約に変更し、同月から小林製薬に社員として参画されますが、転職を決意した理由を教えてください。
石戸 亮 氏
私は、2020年4月にパイオニアに入社しました。当時のパイオニアは、データ事業といわれるデジタル領域を強化したいと考えており、「モノ」を売っていく製造業から「モノ+コト」を提供していくサービス事業へ変革を推進しはじめたタイミングでした。ただ、社内にはSaaSやD2C、デジタルマーケティングなどの経験者が少なかったことから、経験者である私がその領域をリードするために入りました。
入社後は、マーケティング組織や直販営業組織の立ち上げやデジタル人材の採用や広報活動、戦略立案からシステム導入や刷新など成果を出すために職域に囚われず活動してきました。現在では、従来のパイオニアの強みであるカーエレクトロニクスや音のプロフェッショナル人材と融合することにより、実行力が更に増し、結果を出していくフェーズに入ってきていると思います。また、パイオニアに対する世の中のイメージも、これまでのブランド力に加えてデジタルのイメージが社外に対して少しずつ定着するようになってきました。
その中で1年半前くらいから、採用もスピードアップし、デジタル領域の組織も組成され始め、新規事業もこれからではありますが上市し、私自身がCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)としての活動に良い意味で不要さを感じ始め、パイオニアの経営陣とも次のフェーズの役割について話すようになりました。私としてCDOという役職は組織の中に長くあってはいけないと思っています、以前「CDOの仕事はCDOを無くすこと」というお話をさせてもらいましたが、デジタルを中心とした会社ではDXという言葉も使わないし、CDOもいません。私自身パイオニアで次のステージではどのような領域に貢献しようかと1年くらい考え、経営陣とも対話してきましたが、2022年の6月くらいに、小林製薬からアドバイザー業務をもっと深く入ってもらえないかという声がけをいただいたんです。
実は、小林製薬とは約1年ちょっと前からDX領域を部分的に支援していました。そのときは月2~3時間でしたが、小林製薬 代表取締役社長の小林章浩氏から2022年の6月くらいに「DX組織を立ち上げたいから、もっと多く、たとえば週に何回か携われないか」という相談を受けました。ただ、それではどうしても実行まで携わることができないのと、小林製薬に対しても、パイオニアに対しても中途半端な形での関わりになってしまうと思い、1カ月程度検討したのちにほぼフルタイムでコミットしたいという想いと、私なりのデジタル戦略や経営についての考えをお伝えし、入社することを決意しました。
一方で、パイオニアは1月に設立されたカスタマーファースト推進本部*という新しい部門にて、コンサルティング業務として携わっていくことになりました。
*パイオニア株式会社「カスタマーファースト推進本部」を新設