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小林製薬 のCDOに就任。石戸亮氏が描く次の展望とは?【インタビュー】

 

ビジネスパーソンに必要なのは、当事者意識や決断経験値


――会社員以外では、なぜサラリーマン投資家に挑戦しようと思われたのでしょうか。

 今の時代は、たとえば営業や人事やマーケターでも、一見直接関係ないようなファイナンスやデジタルの知識や理解が必要というように、これまで一般的に定義されてきた職種の職域や職能で仕事だけができるだけでは、限界があると感じます。そのため、私も自分自身の経験幅を広げたいと思っています。

 その中で、私が経営する東京タワー近くにある肉バル「Trim」は中小企業の飲食店かつ小売りなので、現場のリアルや顧客の声に始まり、財務経理、店舗運営、従業員の健康状態など、すべてを見ることができます。また、経営の意思決定を限られた資源の中で繰り返し行うので、決断の経験値も溜まりますし、施策や取り組みや全てがうまくいくわけではないので、失敗した時の立て直していく筋肉も付きます。そうすると、大企業にいるとなかなか持ちづらい経営視点や当事者意識が自ずと養えるんです。また、小さな店舗はいろいろなITツールを使わなければ回らないので、自然とDXにも触れるんです。そのようなブログも以前書きました「まず、マーケターやサラリーマンは当事者になる」。

 エンジェル投資も、M&Aや投資のトレーニングとして行っています。それにより、少額ながら投資の当事者意識が湧くので、投資先の目利き力も磨かれていると実感しています。最近のエンジェル投資は10万円くらいからでき、サラリーマンにとっては朗報のエンジェル税制もあり、会社でM&Aに関わっている人やそうでない人も、ぜひ挑戦してほしいと思います。エンジェル投資に興味のある方は「サラリーマンがエンジェル投資を始めたお話し」をご参照ください。

――これまでのご経験から、マーケティングにとって大切なことは何だと思われますか。

 マーケティングにかかわらず「当事者であること」と、そこから得られる「決断経験値」がとても大切だと思っています。当事者であるとは、私が飲食店のオーナーであることやエンジェル投資を行なっていることにもつながりますが、会社員という大きい組織の中で働いているときも同じような意識を持っています。そのため、当事者になることは、経営者であり、顧客でもあったりします。そして、決断経験値は多ければ多いほどよいと思います。失敗しても起き上がることに慣れてくるので、チャレンジすることへの抵抗感が低くなっていきます。飲食店経営などがもしハードルが高い場合は、例えばマーケターであれば近所の飲食店や歯科医などのSNSやGoogle My businessなどの運用を協力して売上に貢献したり、何か自分の専門分野で小さくても良いので経営に携われることはいくらでもあると思います。

――石戸さんはキャリアの中で、パートナー側からブランド側に転職されているわけですが、それぞれに意識の違いはありましたか。

 特に変わらないですね。パートナー側(業務支援側)に勤めていたときは、サイバーエージェントの子会社のときも、デートラマというイスラエル企業の日本法人のときも、世間の認知はありませんでした。どちらも職域としては営業や事業開発を担っていましたが、職域を越えて広報やマーケティング、アライアンス、採用・育成を行い、どうやって認知を上げ、顧客を増やし、満足度を高めるか。そして仲間を集めて組織をつくり、業績を上げるかを必死に考えていました。いわゆるパートナーと言われている側にいたときも、ブランド側と同じく意識や行動をし、必死にブランドづくりや組織づくりに励んでいました。ただ、どちらも経験した身からすると、もしかしたらパートナー側の方が自社のブランドづくりに本気なのではないかと思うことも多々ありますね。

――最後に、石戸さんの一人の人間としての目標を教えてください。

 とても長い目でみた話で、まだぼんやりとして目標ですが、サラリーマンでありながら、自分が起業した会社でExit(上場なりM&A)はしてみたいですね。企業に所属しないピュアな起業家が上場や売却するなどのExitの印象ですが、そのように覚悟をもった起業家の方とはまた異なる、サラリーマンでも上場したり売却なりのExitができることを示せればサラリーマンの可能性が広がると思っていますし、日本の経済効果にも寄与すると思ってます。

 あと、私は出身の千葉の畑や新鮮野菜に囲まれて育った人間なので、親戚がほとんど農家です。そのため、いずれはサラリーマンを続けながらかと思いますが、農業なり一次産業も営みたいと思っています。今は後継者がいなくて耕作放棄地が増えていったり、市街化調整区域が余っているので、それを利活用したり、加工品の製造をしたり、そこに宿泊施設をつくって町おこしビジネスを手掛けたりしたいですね。それが20-30年以内くらいの目標というか柔らかい夢ですね。
  
インタビュー終了後の石戸氏
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