TOP PLAYER INTERVIEW #35

前年比20%増の利益で黒字転換を達成したユナイテッドアローズ、好調の背景とは?【CDO 藤原義昭氏インタビュー】

 

売れないからという理由で、値下げはしない


―― 全社的に取り組んでいることを具体的に教えてください。

 セール時期以外の値下げを廃止しました。本当はセールをしなくても売れるブランドなのに、売行きが悪いと怖くなってしまい、値下げをしていました。しかし、ブランドやその商品に魅力を感じ、定価で購入してくれるお客さまもいます。もし、そのお客さまが次の週に同じ商品が値下げされて販売していることを知れば、がっかりしてしまうでしょう。それでは、結果的にブランド価値を下げることになってしまいますよね。ファンのお客さまをがっかりさせないことが、ブランディングやリピートにつながっていくと思います。

 一方で、セール時期の値下げは、お客さまも期待しています。レジャー感覚も含めて、セールが開催されているから、もう一度店舗に行こうと思ってもらえます。そのため、同じ値下げでも、セール時期以外で値下げをすることと、セール時期に値下げをするのでは、まったく意味が違うんです。

 また、普段から値下げをしないでお客様に来店してもらうためには、それだけ商品やサービスに付加価値を付けなければいけません。商品や施策を通して、すべての価値をどのように上げるかに全社で取り組み、その結果が事業の好調につながったのだと思います。
  
セール時期以外の値下げ廃止について語る藤原氏

――「値下げをしない」は非常に大きな決断だったと思いますが、なぜ踏み切ることができたのでしょうか。

 会社としての意志を経営幹部も現場も全員で貫き通すことができたからだと思います。とはいえ、全員が理解してから行動を始めるのでは、どうしても時間がかかってしまいます。そのため、値下げに関しては、経営から「値下げをしない方針」を伝え、店舗はもちろんのこと商品企画やECも含めた全員がその意志をもって取り組んでいきましたね。

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