TOP PLAYER INTERVIEW #35

前年比20%増の利益で黒字転換を達成したユナイテッドアローズ、好調の背景とは?【CDO 藤原義昭氏インタビュー】

 

ECサイトもアプリも、徹底してシンプルに


――全社的な取り組みの中で、藤原さんはどのようなミッションに取り組んでいるのでしょうか。

 私はCDOなので、デジタル領域全般に携わっています。ECに関しては、2022年3月にECサイトとアプリのどちらもリニューアルしました。それにより、サイトやアプリとして必要最低限の機能や役割をしっかりと磨き上げています。

 そこで大事なことは、奇をてらったことではありません。サイトスピードが速い、顧客データをきちんと取得できるといったベーシックな部分をどうやり切るかが重要です。

 ユナイテッドアローズのマーケティングを簡単に表現すると「集客・接客・CRM」の3段階になります。きちんと集客をして、お客さまがECや店舗に来たら接客し、そこでハウスカードに入会してもらいCRMを回すことが大切です。

 特に集客の部分については、冒頭にお伝えした通り、ソーシャルメディアに力を入れました。外部からSNSのプロに入社してもらい、専門チームをつくり、TwitterやYouTubeなどそれぞれのSNSに合わせた運用体制を構築しました。

――ECサイトやアプリのリニューアルで、ポイントがあればお聞かせください。

 お客さまにとって、いかに使いやすく、いかに商品が際立ってみえるかがポイントです。そのために、ECサイトやアプリ全体のデザインは非常にシンプルにしました。
  
2022年3月にリニューアルされた公式通販サイト

 私もいち消費者としての目線で考えれば、究極的にはGoogleのような検索窓しかないほどのシンプルさと、目的をストレスなく果たせる構造が理想です。ただ、それができないからこそ、接客ツールやMA(マーケティングオートメーション)を入れるなどのさまざまな施策を打つと思います。しかし、それでも本来ECサイトとして磨くべきことは、サイトスピードが速い、スクロールがしやすい、文字サイズが見やすい、といった部分ではないかと思います。お客さまと同じ視点に立ち、ベーシックな部分にしっかりと取り組むことが重要だと考えています。

 やはり、我々としてはECサイトもアプリも毎日見に来てほしいわけです。でも、そこにストレスがあれば、見なくなってしまう。お客さまにストレスをかけないことが非常に大切なので、何らかのツールを入れるときも、サイトスピードなど、お客さまの使い勝手をしっかりチェックするようにしています。

 ECサイトやアプリにおいて、ブランドはUX(ユーザーエクスペリエンス)によってつくられます。店舗でも動線が大切ですが、ECはそれがより顕著で、購入までの動線がひとつ少なければ嬉しい一方で、サイトスピードが遅ければ、腹が立ってしまうと思います。

――リニューアル後、アプリのダウンロード数は100万ほど増えたとうかがいました。

 そうですね。ダウンロード数の増加に最も寄与したのは、店頭でした。お客さまにアプリをダウンロードしてもらう大切さを店舗の部門でしっかり共有し、ダウンロードを促す施策を一生懸命に取り組んでもらっています。オフラインである店舗では、その場で購入してもらった人にアプリを勧めるので、広告よりも遥かに効果的なんです。

※後半に続く
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