広報・PR #06

JAL アクセス集中でキャンペーン中止、原因は宣伝とPRの相乗効果の見過りにある?

 

徹底したホウレンソウ(報連相)の重要性


 ただ、ここでさらに注意しなくてはならないことがある。それは、仮に想像を超える申込数やアクセス数があったとしても、Webページを管理・運用する部門では、自社のサーバーがシステム障害を生じさせない負荷の上限について情報を持っているはずだ。想像を超える申込やアクセス数があった場合でも、サーバーがダウンする可能性が少しでもあるならば、当然の役割として、事前に社内に向けて「アラート」を出す必要があると考える。これは非常に重要な役目である。

 このようなアラートが、本キャンペーンの実施前にJALの社内で共有されていたのだろうか。あるいは事前に注意を促したが、どこかの時点で実施しても問題ないという結論に至ったのだろうか。

 今回のような事態は、私自身過去に経験したことがある。私が良かれと思って企画したキャンペーンでも、会社の基礎体力であるWebサーバーやインフラ、在庫準備、オペレーションなどを超えてしまう可能性があった。その結果、テレビCMなど宣伝活動を含むキャンペーンの中止、または開始時期の変更を強く求められた。



 企業にとって売上を上げること以上に、守らなければならないもの(安心・安全、信用、ブランドなど)がある。今回のJALのケースでも、せめて開始時期を遅らせ技術的なアップデートを行う猶予期間が検討できなかったのだろうかと思う。

 大規模キャンペーンを企画し、運営していく上で責任者にとって最も難しい采配は、キャンペーンの企画や実施ではない。事前のForecast(売上/業績予測)と社内各署への「ホウレンソウ(報連相)」の徹底だと、私は考えている。特に、今回のような過去に実施したことがない企画は、企画、宣伝や広報、その他のシステム運用、法務、CS(カスタマーサクセス)などの管理部門が、蛸壺(タコツボ)化することなく、綿密に「ホウレンソウ(報連相)」を行えるかどうかが成功の肝になる。

 これは安全・安心を扱う航空会社にとって、極めて当たり前のことである。今回は、ブランドイメージに直結する可能性が高い案件だったので、今後のキャンペーンでは改善されたオペレーションに期待したい。
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