TOP PLAYER INTERVIEW #38

リクルートは、なぜ社内にクリエイティブ集団を抱えるのか? 【萩原幸也氏 インタビュー】

 

クリエイティブやデザインの専門家が社内にいることで生まれる価値


―― リクルートでは、社内にクリエイティブ組織があると伺いしました。そのメリットは、どのような点にありますか?

 クリエイティブやデザインの専門家が社内にいることで、さまざまな価値を生むと思います。具体的なメリットを、3つあげます。

 1つ目は、クリエイティブ知見を社内でストックし、磨き、シェアしていく役割です。リクルートは複数事業がありそれぞれにチームがあります。そのサービスごとの点だけで接していくだけでは、それぞれのノウハウを他の事業に広げることができません。また、そうした蓄積の中で、より効果を上げられるようクリエイティブの強化も行っています。

 2つ目は、クリエイター側は「クリエイティブの言語」で、企業側は「ビジネスの言語」で話しますが、良いコラボレーションのためには、その言語を翻訳し、結びつける必要があります。もちろん優秀なクリエイターやマーケターが両軸を担うケースもありますが、社外のクリエイターにビジネスの課題を理解してもらえず、企業側も依頼したい内容が整理すらできないということが起き得ます。社内にクリエイターがいる場合は、ビジネス側の意図を正確にクリエイティブへと昇華することができると思います。

 最後は、少し範囲が変わりますが、経営が社内外で行うようなコミュニケーションにおいて、発信するメッセージをよりよく伝えられるという事です。2018年に経済産業省が「デザイン経営宣言」を発表して以降「デザインを企業価値向上のための資源に」「デザイン人材を経営に近づける」などと言われています。それに近しい話として、社内外にどのように想いを発信していくかという部分をクリエイティブチームが一緒に考え取り組んでいるような事例が多くあります。またそういった部分も担いますので、各サービスに分岐して行った先の枝葉のコミュニケーションでも一貫して企業としての意思を込められます。
  
社内でクリエイティブディレクターがいるメリットについて語る萩原氏

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