RYUKYU note #14前編

コンビニシェアNo. 1を実現し続ける沖縄ファミリーマート、徹底した「地域ド密着」のマーケティング

 沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来に繋がるストーリーをひも解いていきます。

 第14回は、沖縄ファミリーマート 経営企画室 室長 兼 広報・マーケティング室 室長の岸本国也氏が登場。沖縄のコンビニシェアNo. 1を獲得し続ける沖縄ファミリーマート。ファミリーマートと沖縄ファミリーマートの違いから、地域に密着し沖縄独自の商品やマーケティング施策をおこなっている狙いと、競争が激化している環境への対策などに迫りました。
 

「地域ド密着」で、地域に根ざしたマーケティングに取り組む


――まず、沖縄ファミリーマートが立ち上がった経緯や運営体制を教えてください。

 当社は、(株)ファミリーマート(以下、ファミリーマート)と(株)リウボウ(以下、リウボウ)出資により合弁会社として1987年10月に立ち上がりました。

 リウボウは百貨店をメインに事業展開しており、新規事業としてコンビニに取り組んでいきたいと考えていました。一方、ファミリーマートも全国展開しようと、各地方の有力企業と合弁会社を立ち上げ、フランチャイズ体制で出店を拡大していました。こうした両社の想いが一致して現地法人をつくり、沖縄県でファミリーマートを運営するエリアフランチャイズ契約を結んだのが始まりです。
  
沖縄ファミリーマート 経営企画室 室長(兼)広報・マーケティング室 室長
岸本 国也 氏

――Webサイトに「地域ド密着」とあるように、沖縄ならではの商品や取り組みに注力する背景には、どのような狙いがあるのでしょうか?

 まず沖縄は、地政学的な部分もあり、独自の文化が多くあります。最近でこそ、「地域ド密着」として地域に根ざしたマーケティングに取り組んでいますが、1987年の設立から約10年ほど、エリア独自の取り組みをあまりしてこなかったので、沖縄を含めて全国どこへ行ってもファミリーマートは似ている感じだったと思います。

 最初はそれで順調でしたが、1997年にローソンさんが沖縄に進出して以降、環境が変化しました。というのも、ローソンさんのほうが良い立地を押さえたり、駐車場を広くとるなど、我々とは異なる取り組みをしていたのです。

 今までと同じ取り組みだけではジリ貧になってしまうと気づき、2000年前後から沖縄ファミリーマート独自の取り組みを始めました。

 当時の沖縄では、全国のファミリーマートと同じ商品を扱っていたので、沖縄の人に好まれる商品があまりないという声もありました。また、「コンビニエンスストア=値段が高い」というイメージが強く、結果としてファミリーマートを利用しない理由にもなってしまっていました。それを払拭しようと、独自のマーケティングを推進してきたのが、現在の地域密着に繋がっています。

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