RYUKYU note #14前編

コンビニシェアNo. 1を実現し続ける沖縄ファミリーマート、徹底した「地域ド密着」のマーケティング

 

沖縄県民に愛される独自の人気商品


――具体的に、沖縄独自の商品やサービスには、どのようなものがありますか?

 現在、全国のファミリーマートで販売している「スパムおむすび」は沖縄の定番である「ポーク玉子おむすび」がベンチマークになった商品です。ほかには、味にもこだわっており、見た目が同じでも味を変えている商品があり、ざるそばや冷やし中華のつゆは沖縄県民に好まれる独自の味にしています。嗜好的にも地域密着を意識して商品開発を行っています。

 実は、215人いる社員の93%が沖縄出身者なんです。それにより加盟店や沖縄のマスコミ、お取引先への接し方も含めて、かなり近い距離でコミュニケーションできているのでビジネスが円滑に進められています。それが経営的にはプラスに働いていると思います。
  
引用:沖縄ファミリーマート「ポーク玉子おむすび」

――逆に、このプロモーションや取り組みは、沖縄県民には響かないということはありましたか?

 沖縄では唐辛子系の辛い食べ物があまり売れないので、激辛フェアーはあまり響かないですね(笑)。そもそも沖縄は、季節感が本土とはまったく異なります。桜は1月に咲くので、東京などと同じように3月や4月に花見はしません。そうすると全国的な花見フェアと季節感がマッチしない場合があるんです。

――沖縄ファミリーマート独自の商品やサービスが人気を博している理由として、消費者のどのようなニーズや背景があると考えていますか?

 先ほども説明した「ポーク玉子シリーズ」は常時4~5類販売しています。また、沖縄県民は「油味噌」をよく食べるので、それをご飯に挟んだ商品を展開し、非常に人気があります。あとは、「ゴーヤーチャンプルー弁当」ですね。これは他のエリアにはないと思いますが、売上ランキング上位の商品です。

 それから骨付きフライドチキンの「フラチキ」を販売しています。実は、全国で販売されている「ファミチキ」は、沖縄ファミリーマートで20年ぐらい前に販売を開始した「骨付きフライドチキン」から発展した商品です。それが売れたことがきっかけで全国展開し、今では骨なしの「ファミチキ」がメジャーになりました。現在、沖縄以外では骨付きフライドチキンは販売していないのですが、沖縄では骨付きの「フラチキ」と骨なしの「ファミチキ」の両方を販売しています。

 あとは、沖縄で知らない人はいない「上間の天ぷら」も人気です。沖縄県民は、おやつ感覚で天ぷらを頻繁に食べており、人気商品のひとつです。上間の天ぷらは、商品開発が非常に難しかったのですが、なんとか実現でき、現在では天ぷらを4~5種類、サーターアンダギーも含めて豊富にホットスナックを置いています。

 沖縄県民の好みや特性に合わせて、商品開発を行ってきた結果だと思います。我々は、このような商品で「地域ド密着」を実現しています。
  
沖縄ファミリーマートで発売されている沖縄独自のさまざまな商品

――進出当初、「コンビニは値段が高い」との印象などがあり、苦戦したという話がありました。それが、どのように支持へと変化したと思いますか?

 価格や商品がポイントだったと思います。東京の商品をそのまま販売すると、一部商品では高いと感じてしまう事があります。沖縄県民でも手頃に買える価格帯は、どこなのかを常に探ってきたことが支持の背景にあります。

 ファミリーマートとして、全国展開の商品は基本的に同価格にしていますが、沖縄独自で開発した商品は、消費者である沖縄県民が手に取りやすい価格になるよう努力しています。これを実現できているのは、社員の93%が沖縄県人だからだと思います。

 それ以外、商品では地域の人に好まれる味やボリュームが非常に重要だということです。それらを日々研究し、チャレンジして、トライアンドエラーを繰り返したことで、少しずつ沖縄県民にも受け入れられたのだと思います。

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