Agenda note注目のスタートアップ連載 #01

日本人の2人に1人ががんで亡くなる時代。革新的な検査サービスをどう普及させるのか?【セルクラウド 代表 中島謙一郎氏】

 

時間がないという顧客に着目し、サービスの強みから納得感と信頼感を得た


――サービスの信頼性という面では、どうでしょうか。

 もちろん、結果に対する納得感や信頼感もあります。従来の遺伝子検査や唾液検査、尿検査、血液検査といった早期のリスク検査は簡単に受けられる反面、結果が曖昧で納得感がないといった課題がありました。その理由は、がんの人は「この遺伝子があるはず」「こんな因子が多いはず」など、間接的ながんの傾向値を測り、その値が高い=がんのリスクが高いとすることで、あくまでリスク指数を漠然と提示するにすぎませんでした。

 一方、「マイクロCTC検査」は、血中に漏れ出したがん細胞そのものを捕捉して、血液中にあるがん細胞の個数まで明示することができます。上皮間葉転換を経て、浸潤・転移の高い能力を持つ悪性度の高い「間葉系のがん細胞」が血中に漏れ出しているということが非常に高い精度でわかるため、そのがんリスクに対する大きな納得感と信頼があります。そのようなことから、安全で納得できる全身検査を簡単に短時間で受けたい人がターゲットになると考えています。

 さらに、従来の「PET/CT」や「MRI」は被爆リスクがあるんです。環境省が規定している民間人の線量限度は年間1ミリシーベルトですが、「PET/CT」検査1回当たり10~25ミリシーベルトも被爆します。最近は「医療被爆」と発がんリスクの関係性について書かれた論文もたくさん出ているのです。その点、「マイクロCTC検査」は被爆しませんし、採血するだけで安全なので定期的に「PET/CT」を受けて、がんの再発チェックをしている人にもいいと思います。
  
ターゲットとサービスの強みについて語る中島氏

―― 何を強みや他の検査と差別化してメリットを訴求しているのでしょうか。

 さきほどお伝えした通り、簡単に全身のリスク検査ができることがメリットのひとつです。現在の医療技術では、がん細胞が1cm程度の大きさにならないと見つかりません。ところが、その大きさになると10億個ぐらいのがん細胞が存在するため、そこから加速度的に進行してしまい、半年や1年でステージ1や2、3に進行するがんも珍しくありません。そのため、がんを安全に発見できる期間は実は非常に短いんです。忙しくて数年ぶりに検査したらがんが見つかり、もう手遅れだったみたいなことが起きてしまうんです。
  

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