UCC90周年特別特集 #01

創業90周年を迎えたUCC上島珈琲、新たなブランド戦略を発信させた狙いとは

 2023年5月に創業90周年を迎えたUCC上島珈琲は、コーヒーのつくり手に焦点を当てる企画「COFFEE CREATION」を展開している。2021年からスタートしたこのプロジェクトは「UCCのコーヒーは、様々な工程に秘められた、最高の一杯にたどりつくための『おいしい事実』でできている」というブランディングコンセプトを掲げて、俳優・音楽家・文筆家として活躍する星野源氏をブランドアンバサダーに起用し、世界中の生産者との協業やUCCの焙煎やブレンド技術の紹介しながら、体験型施策などを通して消費者とコーヒーとの関わりを豊かに変えていくことを目的としている。

 その一環として「UCC 90周年企画」を2023年3月9日にスタート。コーヒーと真摯に向き合い続けた90年を紹介するためのWeb動画「UCC90周年特別ムービー」の公開や、いま挑戦するUCCを1冊の本にまとめた「UCC90周年BOOK」など、さまざまな施策を展開している。今回は「COFFEE CREATION」の責任者を務めるマーケティング本部 ブランドマネジメント部 部長の染谷清史氏に、このプロジェクトのコンセプトや狙い、新しいブランドメッセージをどのように社内外に浸透させていくのか、SNSでのUGCを生み出す裏側と今後の展望までを聞いた。
 

消費者にコーヒーの「おいしい事実」を伝えたい


――今回の「COFFEE CREATION」とは、どのようなコンセプトや狙いで展開されているのでしょうか。
  
UCC上島珈琲 マーケティング本部 ブランドマネジメント部 部長
染谷 清史 氏

 「COFFEE CREATION」は2021年10月にスタートしました。その背景には、同年にUCCのパーパス&バリューを刷新したという経緯と、現在の社会環境に合わせてUCCブランドをさらに強化する必要があったという意図があります。

 今回のプロジェクトは、「おいしいコーヒーは『おいしい事実』からできている。」「COFFEE CREATION (コーヒーの共創)」という2つのメッセージで構成されています。UCCはコーヒー専業の「コーヒー屋」であり、さまざまな点にこだわっています。たとえば、使用するコーヒー豆は資格をもつコーヒー鑑定士が厳選しておりますし、また、絶妙なブレンドを実現するためにその豆の特長を最大限に引き出す技術も持っています。他にも、コーヒーに関する啓蒙活動を行う教育機関「UCCコーヒーアカデミー」の運営も行っています。このような「事実」が消費者にきちんと伝えられていない、伝わっていないという課題がありました。

 そうした背景から、コミュニケーションのコンセプトとして、「おいしいコーヒーは『おいしい事実』からできている。」という言葉をつくりました。この言葉に至る背景としては、UCCには歴史のあるブランドなので、新しい価値観を入れるのではなく、既に存在しているUCCのこだわりの事実を再発見してもらうことを重視しよう、という考えたことがあります。

 2つ目のメッセージである「COFFEE CREATION (コーヒーの共創)」については、1杯のコーヒーを完成させるには、農園でつくったコーヒー豆を焙煎・ブレンドして消費者に届け、消費者の手でコーヒーを煎れるというプロセスがありますが、最後にコーヒーを淹れて完成させるのは消費者なので、一緒にコーヒーを創り出そうという思いを込めています。
 

星野源氏の起用


―― 星野源さんを起用した狙いは何でしょうか。

 プロジェクトが立ち上がってから、コーヒーの「おいしい事実」を発見していくようなストーリーにしようという構想を立てました。消費者の代表という立場で、UCCの様々な「おいしい事実」を体験してもらいながら、UCCを理解して改めて発見してもらう、それを説得力を持って伝えられる方だと考えて起用しました。

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