TOP PLAYER INTERVIEW #43
はなまるうどんCMOに元おやつカンパニーの髙口裕之氏が就任 「マーケターは現役にこだわり続けることが大切」
外食産業は“元祖DtoC”である
――はなまるでは、具体的にどのような領域を担当しますか。
はなまるうどん全体のマーケティングを統括していきます。今は新型コロナの影響が落ち着き、外食産業にお客さまが戻ってきていますが、うどん業界を見ると丸亀製麺さんが1強の状態です。以前は、はなまるうどんが先行していたものの、現状は逆転されている状態なので、メニューや店舗づくり、プロモーション施策、ブランディングなど全体を考え直していきます。
外食産業のはなまるうどんは、中間流通を通さず、消費者が利用する店舗を持っています。ある意味“元祖D2C”であり、お客さまの反応を直接知ることができます。
私はこれまでマーケティングに取り組んできたメーカーは、流通・小売が間にいるモデルです。卸や小売を挟むメリットも多くありますが、マーケティングの人間からするとお客さまの反応を直接知ることはすごく楽しみですし、スピード感を上げられると思っています。
――おやつカンパニーではマーケティング全般を担当されていたと思います。そこで成し遂げたことについて教えてください。
大きくは3つあります。ひとつ目は、今までなかったマーケティング組織がある程度形になったことです。一般的なマーケティングの考え方や仕組みを組織に植え付けることができたと思います。2つ目は、定番品のブランド価値を上げ、お客さまからの支持を取り戻す道筋をつくれたことです。
3つ目は、健康軸の新しいブランドのポートフォリオを生み出せたことです。おやつカンパニーとして菓子業界の将来を見据えたとき、美味しさという価値だけでは難しいため、新ブランドとして理想のカラダづくりを目指す人を応援する「BODYSTAR」を立ち上げました。
マーケティングは人間の感情を相手にする仕事
――これまでの経験から分かったマーケティングにとって大切なことは何でしょうか。
マーケターは、まず人間に興味がないとダメだと考えています。なぜなら人を相手にする仕事であり、もっと具体的に表現すると人の「感情」を相手にするからです。良いと思うか、面白いと思うかは感情が決めることで、それは人それぞれ異なります。
そして「今はこれがいい」と思う人が増えると、それが流行になります。その「これがいい」と思うスイッチを見つけて、みんなが「いいね」と言ってくれる状況をつくることが重要です。そのためには、やはり人間に興味があり、しっかりと観察ができ、環境が変わったときに「今の人が思っていることがこう変わるのではないか」と仮説をイメージできる能力が必要だと思います。
コトラーは「人は良いものを買うのではなく、良いと感じたものを買う」と言っています。 たとえば、鞄を選ぶときに機能だけで買っているかというと決してそんなことはなく、そのブランドの鞄を持つと自分が嬉しいかどうか?も考えるじゃないですか。
つまり感情が決めているわけです。ということは、マーケティングが相手にするのは認識です。これはすごく難しいのですが、考えようによってはものすごく面白いと思います。