TOP PLAYER INTERVIEW #43
はなまるうどんCMOに元おやつカンパニーの髙口裕之氏が就任 「マーケターは現役にこだわり続けることが大切」
人の感情を揺さぶるために、どう伝えるか
――ブランドをつくるのは面白い反面、苦労されることも多いと思います。ブランドを形成する上でのポイントは何でしょうか。
はい、ブランドの形成は面白いですが、簡単にはできません。まず、人の頭の中に残るかどうかが重要であり、そのために情報をコツコツと発信し続け、さらに途中でぶれずにやり続けることが必要です。これができないと、仮に印象に残っても「あれって何だっけ?」となってメッセージが伝わりません。必ずしも多額の投資は必要なく、人の頭の中に個性的な印象を色濃く伝えていけばいいのです。
マーケティングという職種は、何か資格がないとできなかったり、特殊な計算ができないといけなかったりするものではありません。さまざまな人にとって可能性のある魅力的な仕事です。誰しもが持っている感情を揺さぶるためにどのような情報をどう伝えていくか、それが面白いところです。
さきほどお伝えした通り、自分で考えたことをお客さまに直接届けられる外食産業は、PDCAを素早く回せます。その代わり、お客さまからのダメ出しもダイレクトに届きます。だからこそ、余計に面白いと思います。
変化する環境に対応するために「現役」で働く
――副業や兼業をしようと思うようになったのは、何かきっかけがあったのですか?
今は「人生100年時代」で、長く働かなくてはいけない時代になりました。とはいえ、以前ほどの安定がなく、60歳や65歳で一旦退職して再雇用という形になると経済的にも条件が下がりますし、何よりもやりがいも一気に減るように思います。
昔と違って今は60歳でも若いですし、体もまだまだ元気です。定年に縛られず、会社の名前に依存することなく働く方法はないか、若い頃からぼんやりと考えていました。
マーケティングは、いろいろな業界や会社で流用できるスキルです。また、そのスキルをより発揮するためには、自分自身の価値を上げて社会と接点を持てる状態を作ることが必要です。そこで、さまざまな企業のマーケティングをサポートできる環境にシフトするべきだと考えました。
――マーケターのキャリアについて、現在考えていることや後進へのアドバイスがあれば教えてください。
やはり「現役」として働くことが重要だと思います。環境は常に変化するので、マーケティングもそれに対応していかなくてはいけません。
私自身は、はなまるうどんにコミットし、現役として前進し続けます。兼業は今までの知見や経験をフィードバックします。この2つを具現化し、シナジーを出しながらより強化し続けていくことが結果的に私のマーケターとしての価値になると思っています。
先ほど述べたように、マーケティングは人の感情を相手にする仕事です。過去の感情の話をしても、意味がありません。そのような意味で、現役でいることは、私にとってとても重要なのです。
――最後に今後の展望や抱負を教えてください。
私自身、マーケターであると同時に、ひとりの生活者でもあります。その生活者の自分も楽しめるようなアウトプットをしていきたいですね。
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