Agenda note注目のスタートアップ連載 #02
排泄予測デバイス「DFree」世界5億人が抱える問題に挑み、2年で売上10倍の急成長【トリプル・ダブリュー・ジャパン 代表 中西敦士氏】
紙おむつ大量消費による環境問題に貢献したい
――今後、個人向けのマーケティングへの広報活動を強化されると思います。個人向け、法人向けともに認知拡大に向けて、どのようなマーケティング戦略を考えていらっしゃいますか。
在宅介護など個人向けのマーケティング戦略については、Web広告を試しています。排泄に困っている人に向けて、専門家にDFreeを勧めてもらうような流れをつくっていくことが必要だと考えています。
とはいえ、「あなた、漏らしていますよね」と訴求するのも失礼な話なので、どのようなクリエイティブが相応しいのかを悩んでいます。その中で、認知度をしっかりと高めていくようなマーケティング戦略を考えることが重要だと考えています。
DFreeは介護ロボット分野としてすでに認定されているので、介護施設や病院などの事業者にはインサイドセールスからトライアルしてもらい、気に入ってもらったら購入していただくという流れが完成しています。
今後はその体制をしっかりと強化し、法人向けの導入に向けても情報を届け、セミナーを開催するなど個人向けと併せて認知向上活動を行っていきます。
――超高齢社会の日本でニーズがさらに拡大していくと思いますが、海外展開なども視野に入れているのでしょうか。今後の展望とともに教えてください。
海外展開でいうと、米国に拠点があり本格的に販売しています。欧州、香港、シンガポールなどでも高齢化が進んでいて、所得の高いエリアですでに臨床試験を実施しています。さらに中国は大きなマーケットなので、現地企業とパートナー契約を結び進出していくことも検討しています。
さらに、排尿だけでなく排便も予測できるプロダクトの開発に向けて着々と準備を進めています。どのようなプロダクトになるかは最終調整しているところです。我々は超音波を使ったウェアラブルに強みがあります。身体に害がなく、傷つけないので長時間かつ簡単に内臓の動きを捉え続けられる唯一の技術です。今は膀胱と大腸だけですが、さまざまな臓器に転用できるので、今後は肺や心臓などその他の臓器もモニタリングしていきたいと考えています。
また、我々は紙おむつを敵対視しているわけではないですが、日本の家庭などから出される一般廃棄物に占める紙おむつの割合は5%(※)です。この割合は高齢化とともに増えていて、2030年には7%になると予想(※)されています。大人ひとり当たりの消費量でいうと、日本は世界平均のおよそ3倍も使っている紙おむつ大量消費国ともいえます。
原料の大半はポリマー等のプラスチックであり、リサイクルもできず、焼却炉を傷めてしまい環境負荷が高いこともわかっています。今後、我々は「DFree」のようなデバイスを普及させることで、環境問題にも貢献していきたいと考えています。
※使用済おむつのリサイクルに関する情報整理(環境省)
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