会員数日本一 chocoZAP特集 #前編

わずか1年で国内フィットネスジム会員数1位、脅威のスピードで拡大する「chocoZAP」事業責任者が戦略を明かす

 

なぜ月額2980円が実現できたのか


――chocoZAPは、他社のジムと比較しても非常に低価格です。この価格設定に至った背景を教えてください。

 現在、日本のフィットネス人口は3%だと言われていますが、欧米では約20%だと言われています。日本も欧米と同じくらいの規模を達成したいと思ったとき、欧米と比較してネックになっているのがジムの価格の高さでした。

 欧米では月10ドルくらいで通えるジムがたくさんあるのに、日本には全くありません。そこで運動初心者が、どのくらいの価格設定であれば、大きなハードルになることなく入会してもらえるのかを調査しました。

 最終的に2980円(税抜)に決まるまで、何度もテストを行いました。どれくらいの価格であれば、どれくらいの人数のお客さまに来ていただけるのか。そして、そのお客さまはどういった層なのかなど、実際に店舗をつくって反響を検証しました。

 たとえば、過去に実施したテストは、駅にあるテレワークブースのようなイメージで1回30分の利用で月々2980円で、30分以降は1分ごとに課金されるようなシステムです。その他にもネットカフェなどの価格設定も参考にしました。
  

――その価格設定を実現するための工夫を教えてください。

 運動初心者が求めているサービスをテストマーケティングでリサーチしながら、必要なものと不要なものを判別していきました。また、店舗数会員数のスケールメリットを活かした、大量購入によるコスト削減も行いました。

 あとは、全国で880店舗と店舗数が多く、備品をまとめて大量購入することでコスト削減を図っています。
   chocoZAP店舗内の様子(画像提供/RIZAPグループ)

――無人店舗だからこそ低価格が実現できているという一方で、ジムに初めて通う人は無人だと不安に思う部分もあると思います。その壁は、どのように乗り越えようとしたのでしょうか。

 運動初心者にも安心してご利用いただけるように、アプリでサポートしています。chocoZAPは、会員が入会から運動まで完全に誰とも関わらない形式です。そのため、アプリ上の動画でお客さまの動き方やトレーニングマシン、エステや脱毛機器の使い方などをしっかりと説明して初心者でもわかるようにしています。

 動画やアプリに限らずですが、お客さまがそのクリエイティブを見て、具体的にどのように行動が変わったのかを何度もテストをしています。動画もいろいろなパターンを作成し、数字を見ながら、どのような内容であれば、会員が店舗に来ようと思ってもらえるのかを判断しました。

――RIZAPグループ全体として、テストマーケティングを繰り返して判断するという考え方なのでしょうか。

 そうですね。代表取締役社長の瀬戸健がテストマーケティングを重視しています。chocoZAPのコンセプトも最初から現在の形だったわけではなく、いろいろなテストの結果、着替え不要や美容機器がお客さまのメリットになるとわかってきました。

 先ほどお話した「日本のフィットネス人口を3%から20%にして、健康寿命を引き上げたい」という思いは、最初から一貫しています。ただ、それを実現するための事業コンセプトやコミュニケーションの部分は、テストマーケティングを繰り返していく中で順々に形成されました。

 何かひとつのクリエイティブを決めるときも、お客さまの意見から判断します。たとえば、マシンのデザインを決めるときも、デザイナーの意見だけではなく、基本的にはお客さま、もしくは社内アンケートなどを取って、多角的な視点から決めるようにしています。

※後編「2000種類のバナーと500パターンのチラシ、「chocoZAP」の徹底したテストマーケティング【chocoZAP事業責任者 村橋和樹氏】」に続く
他の連載記事:
会員数日本一 chocoZAP特集 の記事一覧
  • 前のページ
  • 1
  • 2

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録