TOP PLAYER INTERVIEW #50

元DMM.comマーケティング部長の武井慎吾氏が秋葉原で寿司屋を開いた理由

 

オフライン広告の影響力は健在


――飲食店は、オープン当初は知ってもらうことが重要です。どのように認知を獲得しているのでしょうか。

 意識していることは、ターゲットに合わせて最適な手段を使ったアプローチをすることです。たとえば、地場の人やオフィスで働いている人は、秋葉原というエリアにいることは確定しています。そのためオンラインやSNSなどの手段だけでなく、チラシや電柱広告を活用しています。

 そこではQRコードで数値を測っていて、想定以上にアクセスがあるとわかりました。繁華街向けには、インフルエンサーを活用してコラボレーション企画を行っています。これまでやってきたこと同様に、集客施策をただ行うだけでなく、その効果をしっかりと測り、評価しておくことも重要だと思います。

―― チラシや電柱広告などオフライン広告の可能性をどのように感じますか。

 看板やチラシに関しては、どれだけ見られていてどれだけ予約されたかなど反響を数値で追っていると可能性、効果を感じています。実際にお客さまから「チラシを見てきました」と直接言われることもあります。これは以前、パーソナルジムを経営していたときにも感じていたことです。
  
 

マーケターの行き着く先は「経営者」


―― 寿司屋以外にもさまざまな事業を展開しています。事業を選ぶ基準はありますか。

 ひとつは、その事業に対して自分が興味を持てるかどうかです。そして当然ビジネスとして勝ちたいので、しっかりと勝ち筋を見極めた上でスタートさせます。ちなみに、ビジネスパーソンとしてDMM.comを選んだのも、実力が伴えば何でも挑戦できる自由な環境があるからでした。

――そのような状況の中で、DMM.comを退職した理由は何ですか。

 DMM.comでは、横断的な立ち位置のマーケティング組織に所属し、各事業に対してマーケティング活動を通し事業支援を行っていました。余談ですが、自身で経営も行っていたので、単純にプロモーションやKPIの話だけではなく経営者視点で事業の方々と会話できていたのは自身の強みだったかとは思います。

 話を戻しますが、入社から5年ほど経った頃、DMM.comにおいても大企業化の波といいますか、マーケティング活動や事業開発において組織とともに役割が細分化していきました。この規模の企業ですし、その他の企業様を見ても経営として1つの判断だと思います。

 ただし、私はマーケティングの仕事をしている中で、マーケターの行き着く先は「経営者」だと考えており、事業会社にいるのであれば部分的ではなく全体的に関わりたい気質だったのと、ちょうど退職を考えた頃に寿司屋の物件も見つかり、自身が経験したことのない領域での0→1に取り組む挑戦が、自身をより成長させる糧になるのではと考え、DMM.comを退職しました。

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