TOP PLAYER INTERVIEW #51

老舗の三越伊勢丹で都市型メタバースを実現。仕掛け人が語るビジネスパーソンに必要な熱意

 

仮想空間の擬似体験がリアルの行動を変える時代へ


――メタバースの事業を通して、今後の世の中にどう貢献していきたいですか。

 アバターを使ったコミュニケーションツールのサービスとして、さらに成長させていきたいです。到達したいゴールは、多くの人に「もう一人の自分」を活用してさまざまなコンテンツやコミュニケーションを楽しんでもらうことです。

 リアルの世界でも同じですが、街中にあるデパートやコンビニ、ファッション、メディア、アートなどは、すべてコミュニケーションを活性化させるコンテンツです。仮想世界に街があるということは、メタバースにも同じようなコンテンツが多いということです。したがって、アバターによるコミュニケーションを活性化させるために必要なものは都市型のメタバースだと思います。

 そして、それはリアルの行動も変容させます。仮想空間での疑似体験によって「映画っていいな」「服っていいな」「お祭りっていいな」と思うことができれば、「じゃあ実際に行ってみよう」「買ってみよう」と行動するきっかけになります。REV WORLDSでは、「きっかけを、インストールしよう。」をテーマに掲げています。最終的には、リアルでも行動を活性化させ、ハッピーになってもらうサービスを目指しているのです。



――最後に、企業で新規事業に取り組んでいる、あるいは新しいことにチャレンジしようとしている人にアドバイスをお願いします。

 新しいことにチャレンジするときには、子どもの頃の自分の「個性」を今の業務に掛け算するのがよいと思います。新しい挑戦は簡単ではないので、つらさが伴います。その、つらさを軽減する方法のひとつは「動機」だと思っていますが、もうひとつ方法があります。それは、自分の好きなものや得意なこと、心が燃えるものを仕事に掛け合わせることです。

 私は子どもの頃、ガンダムのプラモデルやレゴなど、組み立てて作り上げるものが好きでした。また、ゲームもたくさん遊んできました。そして百貨店に入社し、百貨店での仕事も好きです。そのため、仮想世界においてCGで百貨店をつくる、というのはDNAレベルで好きなことなのだと思います。根拠がないほどの「好き」という気持ちは、それぞれの個性であり、この要素をいかに仕事と結び付けるかがポイントです。それが、新しいことに挑戦するときに重要だと私は思います。

――子どもの頃の好きや個性は、大人になるとつい忘れてしまいそうなことですよね。

 そうなんです。私は上司に気付かされました。「仲田さんってうちの会社で何がしたいの?」と聞かれて、何も答えられなかったのです。学生時代は新しいものが好きでさまざまなことに挑戦していたのに、サラリーマンになってそれができなくなっていたと気付きました。

 失敗しない方法を勉強して、知識や技術を身に付けることももちろん必要だと思いますが、そこに動機や個性をどう掛け合わせるかも大切です。文献やメディアから得た情報だけで行動しても、競合と差別化できません。自分の個性的な部分でいかにポテンシャルを発揮できるか。そこが新規事業や新しい挑戦には必要だと思います。

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