Agenda note注目のスタートアップ連載 #03

選挙という固いネタを扱う選挙ドットコムが月間1200万ユーザーのメディアに成長できた理由とは?【イチニ 代表取締役 高畑卓氏】

 

政治家や有権者に対して、常に公正であり続ける


――スタートアップは、事業の立ち上げから話題になることが重要かと思いますが、どのように認知を獲得していったのでしょうか。

 選挙ドットコムは時間をかけて育てたメディアなので、我慢や積み重ねによって少しずつ認知を獲得していきました。ただ、一気に利用者が増えたのは、先ほども話した通り、新型コロナの影響があります。

 その中で、我々独自の強みを広げるために、愚直に取り組むことが重要だと考えています。お金をかけたプロモーションは水物なので、一生懸命に水を撒いてもすぐに地面は乾いてしまいます。そうではなく、きちんと土をつくっていくようなイメージです。

 最初はとにかく、どれくらいのペースで記事を書き、1記事あたりのPV数がどれくらいかを考えていました。記事が跳ねるためには、どういうキーワードを選定すればよいのか、公開した記事がYahoo! JAPANに載るにはどうしたらいいのか、など繰り返し考えて実行していました。その積み重ねで、多少資金繰りがよくなったタイミングで、YouTubeで選挙ドットコムの番組を始めてみるなど、少しずつ事業を多角化させていきました。

 それから、投票率を挙げるためにも、若い世代に情報を届けることが重要だと思います。若い世代の人はInstagramなどでしか検索せずに、ググらないなどと言われますが、数字を見ると、まだまだ圧倒的にGoogleです。我々の事業では、まだまだHTMLや検索エンジンが重要なのです。

――最後に、今後の展望を教えてください。

 最近、取り組んでいるのは新聞社やテレビ局など、既存メディアとのコラボレーションです。そのひとつの取り組みで、質問に答えていくと「あなたはどの候補者や政党と相性がいいですよ」と伝える投票マッチング機能があります。このように、今後はさまざまなコラボレーションによって多くの人に政治や選挙に興味をもってほしいと思っています。

 ただ、政治家や有権者に対して、我々が常に公正であり続けることを前提に進めなければいけません。それが信頼の第一歩に繋がります。

 また、政治不信や政治に無関心な有権者にどのように興味を持ってもらえるかは、大きな課題です。日本はまだまだ投票率が低く、インターネットを活用した選挙運動は余地があるので、我々はマーケットリーダーとしてその解決に引き続き取り組んでいきます。
  
他の連載記事:
Agenda note注目のスタートアップ連載 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録