TOP PLAYER INTERVIEW #53
「マーケティングがしんどいな」と思っている人へ【シャープ公式X運用担当 山本隆博】
マーケティングがしんどい人に届いてほしい
――2023年9月15日に、初の単著として『スマホ片手に、しんどい夜に。』というSNS漫画時評を出版されました。どのような思いがあるのでしょうか。
本書はX(旧Twitter)のポスト(旧ツイート)集ではなく、マンガSNSサイト『コミチ』で続けているマンガ時評連載をまとめたものです。そのため、SNS運用の話は登場せず、伝える手段としての「マンガ」に触れていることが多いです。
人に伝わらないときにどうやって伝えたらいいか、伝わるとはどういうことなのか、抽象度を上げて考えた結果、マンガに確固たるものを感じました。本全体を引いた目で見ると、ある種のコミュニケーション論のようなところがあると、自分では思っています。
『コミチ』でのコラム連載を始めたきっかけは、伝える手段としての「マンガ」に着目したところからです。どれだけ頑張っても広告は無視され、嫌われ、SNSで発信しても誰にも聞き耳を持たれません。一方で、Xでもマンガやイラストはとてもよく人に読まれます。
そんなときに、『コミチ』の存在を知り、ある企画を思いつきました。それは家電メーカーが伝えても伝わらない発信をマンガにしてもらうというものでした。「空気清浄機のトリセツをマンガにしてください」と、いろいろなマンガ家さんに描いてもらったところ、それが面白かったのです。
その企画で受賞したマンガ家さんたちの作品に私が選評を書いたところ、好評をいただいて、企画の枠をとっぱらった連載コラムに発展しました。毎週出会うマンガと出くわす出来事によって表出の仕方はいろいろ変わりますが、いつも根底にある私の仕事の問題意識の根っこがこの書籍のベースになっています。
――最後に、マーケティングに携わっている人へのメッセージをお願いします。
本書については、「マーケティングがしんどいな」と思っている人に、ぜひ読んでもらいたいです。
正直、私も「仕事がしんどいな」と思ってやっていますから。特にマーケティングはキツいですよね。すべてが数字で、ちょっと楽しかったり面白かったりするエピソードも、数字を前にすると消されてしまうことがあります。そういう意味で、今の自分の仕事や人生にしんどさや疑問を抱えている人に読んでもらえると、ひとつくらいは心に響くコラムがあると思います。
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