TOP PLAYER INTERVIEW #56

ドコモによるインテージTOBが、企業のマーケティング活動にもたらす価値とは?

 

インテージとの協業で4つの領域に注力


――インテージのTOBに関して、現在はどのような段階にあるのでしょうか。

 現在は、主に4つの領域に注力しています。ひとつ目は、先ほど紹介したメーカーを中心とする企業に向けたマーケティングサービスの提供です。特に日用消費財メーカーを中心に、マーケティングバリューチェーン全体を一気通貫で支援するサービスを開発しています。
  

 2つ目は、流通小売企業のバリューチェーンを支援するサービスです。その場合、出店計画や商圏調査から始まり、出店後はストアマネジメント、マーチャンダイジングなどの上流から、商品の仕入れ計画、販促企画、店舗オペレーション、販促広告、販促CRMなどの下流まで、バリューチェーン全体を支援します。

 3つ目は、いま紹介した2つの事業を通じて得られる成功モデルを横展開し、自動車や金融、自治体など他の業種にも応用していきたいと考えています。

 4つ目は、顧客の満足度調査や従業員の満足度調査を行えるようなサービスをプラットフォームで構築し、さまざまな企業に導入していきたいです。

 この4つの中でも、特に最初の2つを事業の柱とする予定です。また、2023年10月25日に、流通小売企業におけるバリューチェーン全体のマーケティングをサポートする「ドコモリテールDXプログラム」を開始しました。
 

ドコモほど充実したデータを持つ企業は他にない


――インテージと協業するにあたって、ドコモは具体的にどのような強みがあるのでしょうか。

 我々が持っているデータの特徴は、精度が非常に高いことです。携帯回線の契約者データは、本人確認も取れていることが大前提です。他社の共通ポイントプログラムは、名寄せができていない会員比率が高いものもありますが、我々のデータは住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号、世帯年収、家族構成など、個人の基本的な属性情報を保有しています。

 さらに、許諾を得たユーザーからは日常の行動履歴も取得できています。我々は基地局データについても利用許諾を得ており、基地局と電波がつながっている間は、許諾者の移動情報を継続的に捕捉しています。加えて、日常の決済情報を通じて、いつ、どこで、誰が、どのくらいの金額を使ったのかという情報も収集できます。
  

 オンラインの話で言えば、Androidのスマートフォンやdメニューの利用をベースに、何のニュースを見たのか、どのような検索をしたのか、どのアプリを使っているのかなど、ブラウジング(インターネットに接続して情報を探し出すこと)やアプリケーションの利活用データも取得できています。

 中には他のプラットフォーム企業が捕捉できるデータもありますが、オフラインとオンラインの両方に対して、精度が高いこれだけ大量のデータを毎日更新できる事業者は、おそらくドコモ以外にはいないと考えています。

※後編に続く
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