TOP PLAYER INTERVIEW #57

ジュエリーブランド「4℃」は、なぜブランド名を伏せた「匿名宝飾店」を出店したのか?

 

認知拡大や好意度向上だけでなく、社員にも好影響


――「匿名宝飾店」を実施してから3カ月程度が経過しました。その後、ブランドイメージに変化はありましたか。

 匿名宝飾店を実施した後は、温かいコメントを多くいただきました。特に一部の投稿サイトでは、匿名宝飾店が4℃であることをプレスリリースで発表したところ、800件ほどの温かいコメントが集まったのです。

 そこには「私の結婚指輪が4℃」「4℃のジュエリーを10年以上使っている」「店舗のスタッフの接客が良かった」といったコメントが投稿されており、他のメンバーと一緒にコメントを読んでいるときに、思わず号泣してしまいました。私たちは、お客様の人生の大事な場面に寄り添えるという強みがあることを改めて実感できる機会になったのです。
  

 また、匿名宝飾店の正体が4℃であることをプレスリリースで発表すると、そのWeb記事がニュースサイトのトップになったり、新聞に取り上げられたりしました。現在も新聞社・テレビ・女性誌などのメディア対応が続いています。いずれも、4℃にとって良いブランド認知につながっています。
  
匿名宝飾店の店内には各所に鏡が設置され、お客様はジュエリーを自由に試着して自分に似合うものを探すことができた。

―― マーケティングをはじめビジネス領域ではユニークな取り組みとして注目されましたが、社内の反応はどうでしたか。

 記事のコメントを読んだ各部門の社員から「お客様の幸せのお手伝いに携われていることを実感した」「喜んでいただいている声を可視化できた」など、たくさんの声が上がりました。匿名宝飾店を通じて、お客様の生の声を聞くことができたのが、私たちにとって素晴らしい価値になったのです。

 私たちは、4℃のジュエリーを通じて「お客様の大切な瞬間や想い出」に関われていると気づくことができました。20年ほど仕事をしてきた私自身もとても幸せを感じました。お客様の反応をジュエリーのクリエイティブに反映させていくという面でも感想を聞けたのは大きかったと考えています。

――最後に、今後の「4℃」としてのマーケティング活動の展望を教えてください。

 今回の匿名宝飾店は創業50年という節目で、ものづくりの原点に立ち戻るという狙いがありました。そして、100年続くブランドを目指し、これからの50年に向けて4℃の商品の良さをお客様に伝えていくことが重要だと考えています。

 社会全体を見ても、ECサイトの利用者が増加したり、時代と共にお客様とのタッチポイントは大きく変化しています。今後も、さまざまなプラットフォームの情報を取り入れながら、商品づくりにチャレンジして、新しいアイデアでお客様にアプローチしていくつもりです。

 私たちは「人が身につけて輝くジュエリー」を届けることを大事にしています。華美なものではなく、日常に輝きを添えるイメージです。ジュエリーに詰まっている思い出こそ、「エフ・ディ・シィ・プロダクツ」が大切にしているものです。

 そのような想いもあり、2023年11月27日より、ありのままの鉱物の自然美を照らす唯一無二のジュエリーとして新ジュエリーブランドである「KAKERA」をローンチしました。
 
新ジュエリーブランドである「KAKERA」を2023年11月27日よりローンチ

 エフ・ディ・シィ・プロダクツとして、これまでは「4℃」の名称が入ったブランドを中心に展開してきましたが、他のブランドと同様に「人が身につけて輝くジュエリー」を届けたいという想いがあります。

 そのため、今後は「4℃」ではないブランド展開にも注力していく予定です。ただ、これからも変わらず、「人が身につけて輝くジュエリー」という方針は大切にしていきます。
  
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