TOP PLAYER INTERVIEW #59

味の素が餃子の張り付くフライパンを3500個も回収 「冷凍餃子フライパンチャレンジ」で目指した生活者目線のコミュニケーション

 

「感動で笑顔を届ける」ための飽くなき「永久改良」


――最後に、味の素冷凍食品としての今後の展望を教えてください。

勝村 私たちはギョーザを作って今年51年目になりますが、「永久改良」という言葉をモットーに、常に改良し続けています。これにはゴールがありません。食べ物のトレンドや食文化は時代に応じて変わってくるので、時代に最も適したギョーザであるように、常に市場の動きや声を見ており、50年間で50回以上の改訂をしてきています。

例えば、1997年に「油なしで焼けるギョーザ」を出しました。世の中の人の生活が変わり、料理をする人が減ってくる中で、家に油がない人も増えているということで油も付属させた商品にしました。あとはフライパンに乗せてお水だけさして焼くだけなので、それは便利だということで販売が伸びました。

2000年を過ぎた頃、今度は水をさすのが難しい、測るのが面倒という声があったので、トレイに目盛りをつけてそこに水を入れれば簡単に測れる形態にしました。しかし、数年後の調査によれば結局それはあまり使われていないことがわかり、2012年には「油なし・水なし」で調理ができるようにリニューアルしました。
  

このように、そのときどきの生活のスタイルに合わせて進化をさせていくのが永久改良です。ここ数年で言えば、コロナ禍で冷凍食品自体が伸びてきた中で、今回の「張り付いてしまった」という声が出てきたということは、まだまだ我々に見えていない何かがあるのだろうと気づくきっかけになりました。そこに我々が取り組まなければいけない課題が明確に見えてきたということで、プロジェクトをすることについて社内の合意形成も取れたのかなと思っています。

我々は商品を作る側なのですが、大事なのは、食べていただく方に我々の思いが再現できて、おいしい、楽しい、便利だと感じてもらえるかどうかだと思うのです。我々の自己満足で「ここまでやったから完成です」ではない。やっぱりそこは常に生活者の声、動きを見ていく必要があると考えています。

高宮 今回の餃子もそうですが、焼いてこそできあがるものですよね。つまり、味の素冷凍食品さんの商品自体が「共創」をはらんでいます。その意味も含めて、生活者の方の声に耳を傾ける仕組みや文化があるからこそ、社内の活動が世の中に見えたときに、それがブランドコミュニケーションたり得るのかなと思います。急造の取り組みでは、このようなコミュニケーションにはならなかったのではないでしょうか。
  

本田 生活者の方々は、この面白い取り組みの一翼を担ったような感じがしますよね。それは本当に今時というか、現代にあるべきキャンペーンの姿だと思います。今後の展開も楽しみにしています。
  
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