新時代のエンタメ舞台裏~ヒットにつなげる旗手たち~ #02

YOASOBI「アイドル」が小学生からグローバルまで大ヒットできた理由、UGCを生み出す仕組みと初動が跳ねた裏側

 

作品に寄り添いつつ、アーティストにも貢献できるプロモーション


徳力 私たちが外から見ていると、あるひとりの天才がいてすべてを最初から狙ってつくっているのだろうと思ってしまうのですが、案外そうではないのですね。Ayaseさんが力をかけて楽曲を制作し、その熱量が広がるように取り組んだ結果として「歌ってみた」「踊ってみた」というUGCが量産されていくという流れだったのですね。
 
note株式会社 noteプロデューサー/ブロガー
徳力 基彦 氏

NTTやアジャイルメディア・ネットワーク等を経て、現在はnoteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNS活用のサポートを行っている。個人でも、日経MJやYahooニュース!個人のコラム連載等、幅広い活動を行っており、著書に「普通の人のためのSNSの教科書」、「アルファブロガー」等がある。

山本 はい、そうですね。たとえば、「踊る」ということは「体が動く」ということです。どういう音が聞こえてきたら、どう体を動かしたくなるのかを考えます。同じように、どういうボーカルやアレンジにしたら、みんなが歌いたくなるのか、などは思考を巡らせながら制作を進めていきます。

一方で、「TikTokでバズってほしい」という固有のSNSに合わせた展開までは考えていません。ただ、我々でも想定していなかったバズが起きたときは、なぜそれが起きたのかを振り返って考えるようにしています。

徳力 プロモーション的な文脈でいうと、狙い通りにうまくいった、予想以上だったなど、何かありますか。

屋代
 「アイドル」は、「【推しの子】」側のプロジェクトの時系列がある程度決まっていたので、それを前提条件としてスタートしています。その作品にどれだけ寄り添えるかがYOASOBIの爆発力につながると思っているので、「【推しの子】」の時系列の中でどうプロモーションを配置すれば、爆発につながるかをかなり議論しました。

原作が強いと、作品側のロジックでいろいろ決まってしまったりしますが、そこもゼロベースで「こうしたほうが作品にとってよいのではないか」「YOASOBIとしてもこれだけやるので、一緒に盛り上げていきましょう」と、「【推しの子】」を制作していたチームの方々に毎回伝えるようにしていました。

その結果として、「【推しの子】」のプロジェクトでは作品の中身もそうですが、スケジュールなども事前に話して納得した上で進められているので、お互いに同じ目的に向かって頑張ることができていると思います。そのことがファンにもしっかりと伝わり、原作者の赤坂アカ氏と横槍メンゴ氏にまで伝わって、「みんなが楽しいね」「すごいね」という前向きなエネルギーで発信し続けられている気がします。
  

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