TOP PLAYER INTERVIEW #60

ネスレ日本「キットカット」の大胆な戦略、大幅リニューアルで目指す「史上最高」の成果【ネスレ 村岡慎太郎】

 

「キットカット史上最高」というワンメッセージの徹底が、大きな成果に


――製品の刷新に伴って、渋谷や梅田で無料のサンプリングを実施されたり、歌手のAIさんを起用したテレビCMを放映されたりと、さまざまなプロモーションを積極的に行われています。その成果や反響はいかがでしょうか。

 まずサンプリングは、キットカット史上最大級の規模である50万人を対象に行いました。当日の現場で聞こえてきた会話からは、「史上最高」というコピーから興味を持っていただいたことがうかがえました。嬉しかったのは、サンプリングイベントを運営していただいたパートナー企業の担当者から「こんなに喜ばれるサンプリングは、これまで経験したことがありません」と言われたことです。

 サンプリングをしているとお客さまのほうから取りに来られたり、もらって飛び跳ねて喜ばれた若い人もいたりしたようで、新しいキットカットを体験するという観点ではものすごく成功したと感じています。
  

 また、テレビCMの反響も良く、「キットカット史上最高」が印象に残ると言っていただいています。歌手のAIさんが歌う曲も、すごくポジティブな反応をいただいています。

 インテージ社の調査によると、サンプリングやデジタルなどの施策を含むキャンペーンの開始後2週目のマーケットシェアが、1週目に比べて2割ほど上がっていました。これは売上としても、すごく効果が出ている状況です。高い目標を掲げていましたが、それを超えることができました。

―― 何がそのような成果につながったのでしょうか。

 理由はシンプルで、「キットカット史上最高」というワンメッセージをすべてのタッチポイントで発信し続けたことです。そのワンメッセージと、企業やブランドがお客さまに何らかの影響を及ぼす情報接点としてオールコンタクトポイントの2つはすごく意識して取り組んでいましたね。

――チームのメンバーに同じ思いで施策に取り組んでもらうために、伝え方の工夫などはしましたか。

 社内外含めて「本当に史上最高といえるキットカットができました」と伝え、しっかりと価値を理解してもらうようにしました。また、それを通してキットカットが日本のお客さまに最も愛されるようになりたいということも、ひたすら伝え続けましたね。

 チーム一丸になれた要因として大きかったのは、週に1回、社内外も含めたメンバー全員が集まる会議を開催して、常に同じ視点を持てるようにしていたことです。参加は任意としていましたが、毎回ほぼ全員が参加していました。
  

 今回のキャンペーンには、テレビやデジタル、サンプリング、インフルエンサーなど、多岐にわたる要素がありました。それぞれ担当するパートナーさんが異なるので、会議では私が透明性をもってすべて説明し、情報が変質しないように意識しました。

 また、いろいろな人がいる場で進捗を共有することで、「これはこうしたほうが良くないですか?」という別の視点からアイデアが出ていました。まさに、クロスファンクショナルチームが実現していたと思います。

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